明石市などが進める明石駅前再開発事業について、計画の見直しを求める市民団体「市民みんなで決める住民投票を実現する会」などは30日、
2万196人分の署名を添えて、事業の是非を問う住民投票の条例制定を市に直接請求した。市民発議による初めての住民投票が実現するか、市と市議会の判断に注目が集まる。(小野圭二郎)
■再開発計画
事業は、2015年度末までに駅南側2・2ヘクタールに34階建てビルなどを造る計画。ビルには商業施設やマンションが入るほか、
業務棟4〜6階の計約9000平方メートルを市が購入し、市役所の窓口機能などを整備する。関連事業を含む総事業費266億円のうち約98億円を市が負担する。
駅南側は、商店が集まる市の玄関口だが、05年にダイエー明石店が撤退して以降、建物の老朽化や空き店舗が目立つようになり、地権者などが09年に再開発準備組合を設立した。
事業計画もまとまり、昨年3月には都市計画も決定された。
昨春の市長選で初当選した泉房穂市長は、市の購入部分に市立図書館や子育て支援施設を整備するよう計画の一部を見直し、当初127億円だった市の負担を約30億円圧縮した。
■無駄遣い?
計画に対し、同会や一部市民は「巨額の税金が投入され、将来に負担を残す」と反発。01年に明石駅南東に開業した再開発ビル「アスピア明石」にも商業施設や市役所機能などが入り、
運営する第3セクターの累積赤字が約30億円に膨らんでいることを引き合いに批判を強める。
市側は計画段階から市民に事業内容を説明していると主張。昨夏に行った2度のパブリックコメントで、現状計画推進を求める意見が多数を占め、指摘を踏まえて改善したとして、
泉市長は「判決は既に下りている」と説明していた。
反対派は「わずかなサンプルで民意を聴いたとは言えない」として、市や議会に抜本的見直しを再三要望したが、対応に変化がなく、直接請求に踏み切った。
■行方
この日、市民団体が提出した署名数は2万人超で、請求に必要な有権者の50分の1(4771人)を大きく上回った。泉市長は「重く受けとめたい」と述べるにとどめた。
泉市長は20日以内に自らの意見を添えて議会に条例案を提出するが、最終判断は議会に委ねられる。
ただ、議会は既に設計費の補助など関連予算の一部を可決。9月には、商工会議所などからの再開発推進を求める請願を賛成多数で採択しており、市議の一人は、
「計画的に積み上げられてきたものを、急に翻すことは難しい」と話す。
ただ、市の自治基本条例では、「市の重要事項について住民投票の直接請求があれば実施する」とうたう。別の市議は、「市長の動向も見た上で採決を判断したい」とする。
同会では、市議全員に再開発や住民投票への見解を問う公開質問書を提出するなど、条例案可決に向けた動きを展開している。
ソース:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20121030-OYT8T01778.htm http://www.yomiuri.co.jp/photo/20121030-275901-1-N.jpg http://www.yomiuri.co.jp/photo/20121030-275932-1-N.jpg