欧州銀行監督機構(EBA)のアンドレア・エンリア議長は19日、欧州の「銀行同盟」創設計画により、
ユーロ圏の域内と域外の銀行監督がバラバラになる恐れがある、との懸念を表明した。
欧州委員会は先週、銀行同盟創設に向けた第1段階として、
欧州中央銀行(ECB)にユーロ圏すべての銀行の監督を委ねる方針を示した。
エンリア議長は欧州議会でこれについて、
ユーロ圏が域内の銀行を守るために銀行同盟を創設すれば、
ECB監督下の銀行とそれ以外の銀行に同じルールが適用されるリスクが生じると指摘、
「単一のルールや監督体制が適用されるユーロ圏と、
各国のさまざまな裁量の下で運営される欧州連合(EU)のそれ以外の国の銀行に、
同じルールが適用されるというリスクがある」
と述べた。
同議長は、銀行同盟は必要だとしながらも、
「単一市場の結束を維持するために適切な『接着剤』をみつけることが課題になる」
との考えを示した。
ECBにユーロ圏の銀行監督を委ねる欧州委の提案が示されてから
エンリケEBA議長が公式に発言するのは初めてで、
議長のコメントは、銀行の資本などに関するルールが異なる形で適用される恐れがあるといった、
多くの国々が持っている懸念を反映したものとみられる。
例えば、英国はユーロ圏に加盟しておらず、この制度の枠外に置かれるが、
ロンドンの銀行の多くがユーロ圏域内でも事業を展開しており、
それらはECBによる監督の影響を受ける可能性がある。
英国政府は、ECBが欧州最大の金融センターとしての
ロンドンの地位を脅かしかねない規制を強いる恐れがあると懸念している。
多くの関係者は、金融危機に対処するためEU各国の規制当局によって設立されたEBAにも、
ECBとのバランスを取るため監督責任を委ねるべきだと主張しているが、
アイルランドの銀行ストレステスト(健全性審査)で問題を把握できなかったことなどから、
EBAに対する信頼感が揺らいでいた。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK820263020120920