ユーロ圏の金融危機は再び激化しているようだ。
13日までの週のスペイン国債市場の波乱が示している。
もっとも、実を言えば危機は一度も去っていなかった。
そして、域内の国境を越えた資金の動きからは、欧州の人々が
通貨同盟の存続をますます疑問視していることがうかがわれる。
最近数カ月は市場が落ち着いているように見えたが、洗練された投資家も普通の預金者も等しく、
財政の弱い国から比較的安全とされる国へとユーロを移していた。
財政難国がユーロを捨て、これらの国の預金者の手には
価値の目減りしたドラクマやリラ、ペセタが残されるという懸念が強まっていることが示唆される。
このような資金の流れを定量化するのは難しいが、
ユーロ圏の中央銀行のバランスシートを観察することである程度、推測することができる。
域内のある国から別の国へ資金が流れると、流入先の国の中銀は同額を
流出国の中銀に貸し付けることで通貨同盟内の収支を均衡させる。
例えばスペインの預金者がお金をドイツの銀行に預け替えると、
スペイン銀行はドイツ連邦銀行から借金をすることになる。
各国間の貸借関係を見ることで、ユーロ圏のどの国からどの国へ資金が幾ら流れたかを推測できる。
この分析によれば、ユーロ圏では今、前例のない資金逃避が起こっているもようだ。
主としてスペインとイタリアから流出しドイツとオランダ、ルクセンブルクに向かっている。
3月だけでも約650億ユーロ(約6兆8000億円)がスペインから域内の他国に移った。
2月までの7カ月では、スペインとイタリアの中銀の借り入れはそれぞれ1550億ユーロと1800億ユーロ増えた。
ドイツとオランダ、ルクセンブルクの中銀はユーロ圏の中銀への貸し付けが約3600億ユーロ増えた。
この7カ月の増加はその前の17カ月のほぼ2倍で、
逃避先3カ国の他の中銀への融資は7890億ユーロと過去最大に膨んだ。
つまり3カ国の中銀、そして中銀を通して納税者が、
イタリアやスペイン、ギリシャなどの債務だった約7890億ユーロを引き受けたということだ。
イタリアとスペインをめぐる懸念は、銀行・ソブリン・経済危機が合体した複合危機への欧州の対応が不適切な状況を反映している。
欧州中央銀行(ECB)は銀行システムに1兆ユーロ余りを注入したが、
イタリアとスペインの銀行はこれを自国の国債購入に充ててしまい、自らの運命を国に結び付けてしまった。
欧州の新財政協定が求める厳しい緊縮策は財政難国の赤字削減のために必要な成長を止め、事態悪化を招いている。
市場がイタリアとスペインに資金を貸すことをやめれば、
融資能力が6000億ユーロ程度しか残っていない救済基金は全く不十分ということになる。
両国の向こう5年の資金需要は1兆ユーロ余りだからだ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M2KFJF6TTDSG01.html 関連スレ
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