日本海、終了

1 ：リボン付きφ ★：2012/03/16(金) 23:08:25.80 0

　１９６８年から青森―大阪間約１０００キロ・メートルを結んできた寝台特急「日本海」がＪＲのダイヤ改正に伴い１６～１７日の運行を最後に姿を消す。

　観光客やビジネスマンに愛されてきたが、新幹線や飛行機、低価格ホテルにおされ、利用者が低迷していた。１３日夜、ＪＲ青森駅から日本海に乗って、
乗客たちの思いに耳を傾けた。

　午後７時３１分。別れを惜しむ大勢の鉄道ファンのストロボを浴びながら出発した。

　２段ベッドが向き合って並ぶＢ寝台で、隣り合った男性と鉄道の話に花を咲かせたのは、初めて乗った青森市立沖館中３年の加賀谷謙介君（１５）。
高校受験の合格祝いに祖父母と乗り込んだ。

　あこがれのブルートレインの中でも、関西という遠くまで乗客を運ぶ日本海には思い入れがあり、絶対に乗りたいと受験勉強にも励んだという。「中学の
卒業旅行が日本海最後の旅になってしまうのは残念。でも、思い出にはずっと残るはず」と話した。

　大津市での学会に出席する北海道函館市の大学院生平田和彦さん（２５）も向き合ったベッドの老夫婦とすぐにうち解けた。「日本海の良さは個室が
ないこと。だから、初めて会う方とも自然とお話することができる」と言う。大学の体験入学から約８年間、実家のある京都府を往復する際、２０回以上
利用してきた。「一期一会ですね。廃止でそんな出会いを少なくしてしまう気がする」

　秋田県の東能代駅を出発した直後の午後９時４５分。消灯のアナウンスが流れた。乗客は備え付けの浴衣に着替え、寝息を立て始めた。

　１４日午前６時過ぎ、金沢駅到着を告げるアナウンスで目覚めた。車外は霜が降り、襟を立てたくなるような冬の景色が広がっていた。

　京都での会議に出席するために乗車した弘前市、無職田沢昌弘さん（７６）は日本海の廃止に「そりゃあ、さみしいよ」。かつて日本海には郵便物を運ぶ
「郵便車」が連結されており、郵便局員として郵便物を運び入れたこともあった。多い時は車両の半分を郵便物が占めた。「これだけの郵便物を関西に
運んでくれるんだという思いがあった。愛着のある特急でしたね」と往時をしのんだ。

　午前１０時２５分頃、「青森からの列車の旅はいかがだったでしょうか」とアナウンス。間もなく終点の大阪駅に到着した。

　青森から乗車していた東京都練馬区、会社員鈴木裕土さん（３２）にとって初めて知った列車が日本海。育ったのは秋田市の貨物駅の近くで、闇夜を
ライトで切り裂き、青い客車を引っ張りながら通過する姿を目に焼き付けてきた。乗車は今回で５回目に上る。「鉄道を好きになるきっかけを与えてくれた。
ありがとうと言いたい」。間もなくラストランを迎える列車をそうねぎらい、カメラに収めていた。（山口陽平）

（2012年3月16日読売新聞）

YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/otona/railwaynews/02/aomori/20120316-OYT8T00623.htm