米生命保険最大手メットライフのスティーブン・カンダリアン最高経営責任者(CEO)は、
アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の海外生保部門買収に先立ち、
同部門が保有する欧州国債を売却するようそれとなく促したが、AIGはこれを無視した。
メットライフは昨年10−12月(第4四半期)にギリシャ国債に関連する
1億2300万ドル(約96億4700万円)の評価損を計上した。
同社は2010年にAIGの海外生保部門アメリカン・ライフ・インシュアランス(アリコ)を買収したが、
その際に取得した18億ドル相当の欧州のソブリン債保有を段階的に圧縮してきた。
当時メットライフの最高投資責任者(CIO)だったカンダリアン氏は、
取引が完了する前にAIGにソブリン債を売却させようとしたことを明らかにした。
カンダリアン氏はバンク・オブ・アメリカ(BOA)が15日開催した投資家会議で、
「AIGの友人に『欧州周辺国の国債をどうか処分してほしい』と狼煙(のろし)で信号を送ったが、
反トラスト法(独占禁止法)の下では狼煙以上の行動はできず、
結局彼らは売却しない道を選んだ」
と語った。
アリコ買収が発表されてから取引が完了した10年11月1日までの約8カ月間に
ギリシャ10年国債の相場は28%下落。
その後さらに約3分の2の価値が失われた。
カンダリアン氏は昨年5月にCEOに昇進した。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZH5ZT0UQVI901.html