欧州の銀行が、自己資本充実化に向けた取り組みを加速させている。
28日には、バンク・オブ・アイルランドが貸出債権の売却、
仏クレディ・アグリコルは海外事業の閉鎖を発表した。
欧州の銀行は、新自己資本規制に対応するために
3兆ユーロに上る貸出債権を圧縮すると予想されている。
銀行のレバレッジ外しの動きは景気回復の取り組みを阻害するとの懸念が台頭している。
バンク・オブ・アイルランドは28日、プロジェクトファイナンスの貸出債権を
三井住友フィナンシャルグループに4億7000万ユーロ(6億2400万ドル)で売却したことを明らかにした。
クレディ・アグリコルは、南アフリカの投資銀行子会社を閉鎖すると発表した。
同子会社は、南アの外資系銀行として4位の規模を持ち、業績も良好だった。
にもかかわらず撤退を決断したことについて、
アグリコルは中核事業に経営資源を集中させる業界の動きを挙げる。
アグリコルの幹部はロイターに
「銀行はみな同じことをやっている。
法人金融、投資銀行はすべて海外の拠点、顧客、商品の削減を迫られているのは明らか」
と語った。
貸出債権の圧縮にとりわけ積極的なのはフランスの銀行。
資金調達コストの上昇で、融資を更新しなかったり、
シンジケートローンへの参加を見送ったりしている。
欧州の銀行には、規制面のプレッシャーも重くのしかかる。
国際的な新自己資本規制「バーゼルIII」よりもかなり前倒しで
9%の狭義の中核的自己資本(コアTier1)比率の達成を求められている。
「これが、銀行セクターのデレバレッジに関するリスクが著しく高める。
(欧州銀行向け規制の)タイムフレームは経済に多大な打撃を与えるリスクがある」
とバークレイズ・キャピタルのリポートは警告する。
関係筋によると、BNPパリバはプライベートエクイティー(PE)ポートフォリオの売却を検討している。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、規模は7億ドル以上と報じた。
実質国有化されている英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の非中核的資産売却は2年余りに及ぶ。
現在、締めくくりとして80億ドル規模の航空機リース事業の売却を考えているという。
ロイズ・バンキングも約6億ポンド(9億2900万ドル)の商業用不動産融資債権を売却しようとしている。
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