デビュー6年目。顔をテレビで見ない日はない。民放の連続ドラマなどに出演を重ね、若い女性を中心に人気
を集めてきたが、昨年、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」で、ヒロインの相手役を好演して全国的にブレー
ク。コマーシャルの出演依頼が殺到し、放送中の大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」でもヒロインの夫、徳川秀忠
役を演じるなどスター街道を突っ走る。その素顔とは−。(文 萩原万貴枝)
−−昨年は朝ドラ(連続テレビ小説)、今年は大河ドラマでメーンキャストとしての連続出演。“NHK勤務”
がここまで長くなるとは想像してましたか
向井 実は、「ゲゲゲの女房」を撮影している段階で大河ドラマの話は決まっていたんです。その時、大河で
は「龍馬伝」を撮影していて、結構大変そうだなと思いながら様子を見てました。知り合いもたくさん出演して
いて…。
−−例えば
向井 佐藤健(たける)君、桐谷健太君とか。みんなから現場のいろいろな話を聞いていたので、大河ドラマ
は身近な存在でした。顔見知りになったスタッフの方も多かったので、大河にクランクインするときも雰囲気に
のまれるということはなかった。違和感なく現場に入れたのはラッキーだったと思います。
−−「ゲゲゲの女房」の村井茂(水木しげる)役で、全国的な人気を獲得しました。その実感は
向井 反響の大きさには驚きましたね。撮影は約10カ月かかったんですが、長い時間をかけて、ひとつの役
と丁寧に向き合えることって、そうはできないこと。役者としてすごく貴重で幸せな時間でした。撮影中は「ゲ
ゲゲの女房」が自分の生活の一部でしたね。
−−朝ドラの制作発表で、「江」のプロデューサーのお目にとまったことから、初大河への道が開かれたとか
向井 運が強いと思うし、感謝したいと思います。初時代劇でもあるのでプレッシャーはありますけど、今回
の役は(水木さんのように)生きている方ではないので…。当たり前ですが(秀忠を)直接知っている人がいな
いという意味では、気持ちはだいぶ楽(笑)。お芝居という面では、根本は変わりませんし。
−−大河ドラマは他の時代劇と違って、史実に沿っているか否かも注目されます
向井 歴史というのは、“事実”はあっても、“真実”は分からない。ポイントはきちんと押さえないといけ
ないけれど、脚本家さんや演出家さんの想像力や、僕らの役作りで新しい味を加えて、その間に流れていた時間
を埋めていくことができる。それがドラマのおもしろみのひとつだと思うんです。
−−「江」は戦国時代が舞台ですが、向井さんが“日本の歴史”を意識したのはいつ?
向井 授業で一通り勉強しましたけど、横浜育ちで鎌倉が近いので、鎌倉幕府のころが一番親近感がありまし
たね。小学校のときに源頼朝や義経を歴史書で調べた記憶があります。
−−これまでで印象的な大河作品は
向井 戦国武将に憧れるって、誰もが通る道だと思うんですけど、僕の場合はやっぱり織田信長。最初の記憶
は、中学2年のときに見た渡哲也さんの信長(平成8年放送の大河「秀吉」)です。本能寺の変で、白い着物に
長槍を持った渡さんの姿がすごく印象的でした。
−−今、演じている徳川秀忠は、斜に構えているようなキャラクター
向井 嫌な感じですよね(笑)。
◇
【プロフィル】向井理
むかいおさむ 昭和57年2月7日、神奈川県生まれ。29歳。明治大学農学部生命科学科卒業。スカウトを
きっかけに平成18年、芸能界デビュー。「ゲゲゲの女房」出演で第19回橋田賞新人賞受賞。ほかの代表作は
ドラマ「新参者」「ホタルノヒカリ2」、映画「ハナミズキ」「BECK」など。
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http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110712/ent11071203070000-n1.htm