石油・石油化学プラントのメンテナンスで国内トップシェアの東証一部上場「新興プランテック」
(横浜市磯子区)が東京国税局の税務調査を受け、下請け業者に水増し発注し、差額を商品券
で受け取っていたとして、2010年3月期までの5年間で約1億円の所得隠しを指摘されたことが
分かった。メンテナンス工事の責任者だった40歳前後の男性社員=諭旨退職=が商品券を換金し、
接待費などに使っていたとされる。
同社は商品券を経費として処理していたが、国税局は税務上の経費にできない「交際費」と認定
したもようだ。また、同じく経費としていた社員同士の飲食も交際費とされるなど、申告漏れ総額は
約2億円となり、重加算税を含む追徴税額は約9千万円という。
複数の業界関係者によると、新興プランテック川崎事業所(川崎市)は横浜市内の下請け業者に、
手袋や作業靴など業務用品を水増しして発注。下請け業者は偽造納品書をつくり、5年間で
約8千万円を商品券にして納めていたという。
川崎事業所に勤めていた工事責任者は社内調査に対し、「商品券を金券ショップで換金し、
顧客の石油元売り会社などとの接待や、社内や協力会社との懇親会、個人的な飲食に使った」
などと説明したという。
この工事責任者は、工事の規模によっては3千人の作業員らを束ねる立場で、工事に必要な
消耗品や備品の発注と、品物が届いたかを確認する検収も1人で担当していた。不正は税務
調査の過程で発覚し、工事責任者は昨年11月16日付で諭旨退職した。
新興プランテックは既に修正申告しており、本紙の取材に「チェック体制に不備があった。再発
防止に努めたい」としている。
【新興プランテック】 1938年設立。石油やナフサを精製するプラント(生産工場)の定期修理
工事やメンテナンス、改修工事を行っている。今年3月時点で、石油元売り国内最大手のJX
ホールディングスが株式の約13%を保有する筆頭株主。資本金は約27億円で、2011年3月期
の連結売上高は約793億円。
(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011070490090521.html