菅の原発“隠蔽”シートで生命危機…専門家猛反発も強行のワケ

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1ケツすべりφ ★
菅直人政権が「危険な賭け」に出る。放射能漏れが続く東京電力福島第1原発の原子炉建屋を、
特殊シートで遮蔽する工事を行う方針を固めたのだ。総建設費は約800億円。原子力の専門家は
「放射性物質の拡散を抑える効果は限定的で、リスクのほうが大きい」と猛反対したが、
政治判断で押し切ったという。東日本大震災や原発事故での指導力欠如が批判された焦りが
あるのかもしれないが、失敗した場合、菅首相の政治責任はもちろん、現場の作業員の生命も危うくなる。

勇断なのか、無謀なのか−。菅内閣が検討しているのは、高さ約45メートルの原子炉建屋の周りに
骨組みを建て、特殊シートを張り巡らせるという構想だ。「原子炉や使用済み核燃料プールの温度が
安定していない建屋を遮蔽すれば、新たな放射性物質の拡散を抑える効果が期待できる」というもので、
ゼネコンが提案したという。

事故が発生した1−4号機すべてで実行した場合、1−2カ月の工期で費用は約800億円。内部には
観測機器を設置する。細野豪志首相補佐官の下に設けられた原発対策チームのうち、
馬淵澄夫首相補佐官らが率いるチームで議論され、菅政権として東電に検討指示したという。

原発事故では「(原子炉を)止める」「(核燃料を)冷やす」「(放射性物質を)閉じ込める」が
3原則といわれるが、今回の計画は「閉じ込める」に加えて、「(世間の目から)隠す」をいう意図も
ありそうだ。というのも、菅政権の原発事故への対応には、国外でも批判が続出しており、欧米メディアは
連日のように水素爆発で無残に破壊された原子炉建屋の映像を流し続けているからだ。

ただ、この計画に原子力専門家らの見方は厳しい。

大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は性急なシート設置には疑問を呈する。「原子炉から発する
熱でシートが破れる恐れがある。今急ぐべきは、冷却機能の復旧だ」と述べた。

筑波大の成合英樹名誉教授(熱工学)は無残に損壊した3号機に触れ、「建屋の代わりにしようという
発想は分かるが、単にカバーすればよいものでない。肝心なのは炉心の状況で、刻々と変わる状況を
見据えた対応を取るべき」と慎重だ。

他の専門家も、シートで密閉すれば内部の放射線量が上昇して作業が困難になるうえ、内圧が上昇して
再爆発を起こす危険性も指摘する。

一方、横浜国立大の小林英男客員教授(破壊力学)は「水素は軽く、上層にたまるので、シート上部に
穴を開けて逃がす。放射性物質を含んだ空気を水をくぐらせ外へ出すような特殊な換気口も必要。
時間の余裕がないので、できることから実施すべきだ」と語った。

福島第1原発は、事故発生から3週間過ぎたが、いっこうに収束の道筋は見えない。そんななか、
前出の細野補佐官は3日、フジテレビ系「新報道2001」に生出演して、第1原発からの放射性
物質放出を止める時期的メドに関して、「数カ月がひとつの目標になる」と述べた。

つまり、「1カ月」とか「2カ月」とか、確実な収束時期を示せない状況にあり、これから数カ月、
放射性物質が大気や太平洋に「だだ漏れ」し続ける可能性を示唆したわけだ。

果たして、こんな対応で大丈夫なのか。

米FEMA(連邦緊急事態管理庁)の外郭団体であるIAEM(国際危機管理者協会)の
国際コーディネーターの1人で、日本戦略研究フォーラム復興支援・国際連携室室長でもある
唐川伸幸氏は「米国のプロの見立てでは、原子炉の温度安定化だけで最低6カ月とみている。
その後、廃炉処理には2、3年はかかる。先週、米軍が原発周辺の土壌調査などを行った。
『第1原発から何キロ圏内の避難が必要か』という計算も終わっているはず。今後、日本政府と
調整して、事態収拾のための時間と手順を示した、マスタースケジュールが発表されるはずだ」と
語っている。

米国は今回の“賭け”をどう判断するか…。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110404/dms1104041611023-n1.htm