酒田市の東北公益文科大(黒田昌裕学長)は25日、間瀬啓允名誉教授(72)が2年前に同大発行の
総合研究論集17号で発表した「研究ノート」について、慶応義塾福沢研究センター客員研究員の
著作から引用した部分の表記の仕方などが不適切で、著作権に対する配慮を欠いたとし、17日付で
非常勤講師を解職、本人の申し出による名誉教授返上を承認すると発表した。
総合研究論集は回収し、問題の研究ノートを削除して再発行する。
研究ノートは研究論文の下地となる論稿。東北公益文科大によると、間瀬名誉教授は特任教授だった
2009年12月、研究ノート「福沢諭吉と英国国教会宣教師ショーとの交流の軌跡」を発表した。
A5判で10ページあるこのノートは、引用したことを注釈しているものの、同センター客員研究員の
著書のどの部分をノートのどこに引用したかが曖昧で、本人の考察なのかどうかが判読しにくい
記述になっている。さらに引用した文章に「」が付いていない箇所があり、引用理由も明示されていなかった。
客員研究員から16日に「自分の書いた出版物の著作権を侵害しているのではないか」との手紙が届き、
同大の論集編集委員会が調査した。その結果、間瀬名誉教授の著作権、著者に対する配慮が
足りなかったと判断。本人も認めた。
間瀬名誉教授は「著作を高く評価したために引用した。著作権に深く配慮しなかった責任の重さを感じている。
関係者におわびする」と話しているという。同名誉教授は01年の東北公益文科大開学時から公益学部長などを
務め、08年に定年退職した。特任教授を経て10年4月から名誉教授。
黒田学長は「発行者としての責任を痛感するとともに、著作権の問題は大学運営にもかかわるため、厳正に対処した。
大学人としてモラルを厳守するよう全教職員が意をただしていきたい」と語っている。総合研究論集は年2回、約500部
発行し、各大学、図書館などに配布している。再発行は3月末を予定している。
ソース(山形新聞):
http://yamagata-np.jp/news/201102/26/kj_2011022600443.php