大相撲の八百長メール問題を調査する特別調査委員会は10日、都内のホテルで3日目となる
関取への事情聴取を行った。委員会は八百長の真相解明へ携帯電話と銀行の預金通帳の持参を
求めているが、十両の武州山(34)=藤島=に担当の弁護士が「持ってくる必要はなかった」と
伝えたことが判明。調査委から真剣勝負に徹する“ガチンコ力士”に認定されたものと見られ、
八百長疑惑のなか武州山が“名誉”のお墨付きをもらった。
これぞひょうたんから駒だ。八百長疑惑への調査で完全なガチンコ力士が浮かび上がってきた。
十両の武州山だ。この日、都内のホテルで受けた特別調査委員会の事情聴取。全力士は委員会から
携帯電話と預金通帳の持参を求められているが、武州山に対して担当した弁護士が「持ってくる
必要はなかった」と伝えたという。
力士同士の携帯電話のメールで発覚した今回の疑惑。それだけに調査委は、力士が持つ携帯電話などの
物的証拠を重視し調べを進めている。こうした状況で調査委が最初から持参の必要なしと判断したことは、
武州山に八百長への疑惑を抱いておらず完全なガチンコ力士と認定しているものと見られる。聴取後、
武州山は「持ってきたんですが必要ないと言われました」と告白。黒い霧が土俵を覆う中での潔白の
お墨付きは名誉でもあるが「話してはダメだと言われているので」と戸惑っていた。
武州山は青森県浪岡町出身で金木高校時代はたった1人で相撲部を続けた伝説を持つ。大東大から
99年初に武蔵川部屋で初土俵。一切の妥協を許さない教えで知られる武蔵川親方(元横綱・三重ノ海)の
鬼の稽古に耐え、03年九州に新十両も2度にわたり幕下に陥落。32歳の08年九州でようやく新入幕を
果たした苦労人でもある。プライベートでは大の巨人ファン。東京ドームのライトスタンドで観戦し周囲の
ファンに溶け込むなど温厚な人柄でも知られる。調査委が物証の持参を「必要なし」と判断した裏側には、
こうした人生や周囲の評判も考慮した可能性もある。
前日まで33人が受けた調査委による事情聴取。この日は、武州山の他に大関・魁皇(38)=友綱=ら
21人と面接。これまでの3日間で54人を終え、八百長関与と判断した者はいないとした。
加えて、メールで関与が疑われる14人への2回目の聴取も行っており、八百長を告白している竹縄親方
(元幕内・春日錦)と幕内・豊桜(36)=陸奥=が弁護士からの聞き取り調査を受けた。武州山のように
物証の持参は必要なしと認定された力士は他にもいるものと見られる。八百長メールで力士へ疑惑が
注がれる中、確実にガチンコ力士の存在も浮かび上がっている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20110211-OHT1T00012.htm