大阪に本社がある大手製薬会社の「田辺三菱製薬」の子会社が、製造などをしている4つの注射剤に
ついて、義務づけられている品質試験を行わないまま出荷していたとして、「田辺三菱製薬」は26日、
記者会見を開いて謝罪するとともに、この注射剤の自主回収を始めました。
自主回収を始めたのは、閉塞(へいそく)性動脈硬化症の治療で使われている注射剤「リプル注」など
4つの注射剤です。「田辺三菱製薬」が記者会見で明らかにしたところによりますと、これらの注射剤は
「田辺三菱製薬」から委託を受けた子会社で、栃木県足利市にある「田辺三菱製薬工場」の足利工場で、
製造や包装が行われ出荷されていました。出荷にあたっては、品質試験を行うことが義務づけられていま
すが、この試験を担当している社員が、少なくとも平成19年から3年間にわたって一部の試験を行って
いなかったことを認め、謝罪しました。今のところ、健康被害は報告されていないということです。
報告を受けた厚生労働省は、薬事法に基づいて26日、足利工場の立ち入り調査を行いました。田辺三菱
製薬を巡っては、去年4月にも、血液製剤の実験データを改ざんするなどしたとして、25日間の業務
停止処分を受けています。「田辺三菱製薬」は、子会社が厚生労働省の立ち入り調査を受けたことに
ついて、記者会見し、土屋裕弘社長は「製品の出荷判定に必要な試験が実施されていなかったことが
判明した。患者、医療関係者をはじめ、多くの皆さまにご心配とご迷惑をおかけすることおわびします」
と謝罪しました。「田辺三菱製薬」は、去年4月にも、血液製剤の実験データを改ざんするなどしたと
して、25日間の業務停止処分を受けたばかりで、土屋社長は「再発防止と信頼回復の途上で起きた問題
で極めて残念だ。事実関係の調査と原因究明を徹底して行い、製薬企業としての信頼回復を経営の最優先
課題として取り組む」と述べました。また、みずからの進退について、土屋社長は「医薬品メーカーと
しての信頼回復が責務なので、責務を果たしたことで考えたい」と述べて、当面、再発防止策に力を注ぐ
考えを示しました。
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110126/t10013648561000.html