ある母親が自分の娘に絶望を感じていた。彼女は「娘を殺すかもしれない」と恐れている。
実は南アフリカでは3年前に「母親が息子を殺して無罪になった事件」という前例がある。
彼女の娘は麻薬中毒。娘は6年前にティック(tik)という常習性の高い麻薬を使用し始めた。
その間、娘には出産、レイプ、銃で撃たれる、刺される、走っている車から投げられる、
自殺未遂など想像を絶する出来事が起こっている。それでもティックをやめられないでいる。
娘は南アフリカのケープタウンでも裕福なエリアで産まれた。小さい頃は叔母と共に住んでおり、
素直で礼儀正しい子供だった。その後、祖母と共に暮らすようになり15歳のとき妊娠した。
出産で一時は学校へ行かなかったが『弁護士になりたい』と復学、
しかし高校3年生のときにティックを使用し始め様子が変わった。
2年前、男性からレイプされそうになり拒否すると走っている車から蹴り出された。
さらに同年10月、他の男性からレイプされそうになり抵抗するとなんと発砲された。
弾は足を貫通、母親は警察へ届け出たがその後娘自身が起訴を取りやめている。
その傷も癒えない内に今度は友人からナイフで足を刺された。
9ヶ月前、娘は2人目を出産した。家族の不安は「彼女が赤ちゃんを傷つけないか」ということ。
娘はすでにティックを買うために赤ちゃんの服を売り、子供が遊んでいたプレイステーションを売っている。
家族からお金を盗むし、叔母に暴力を振るってもいる。
家族は彼女のボーイフレンドに助けを求めたが、娘は彼からも物を盗み愛想を尽かされていた。
最近は様子がおかしく、1ヶ月前に父親に「(知らない男性に)レイプされた」と告白したり、
頭や顔を何度も壁に打ちつけたり、薬を過剰に摂取して自殺未遂をしでかしたりと母親は気が気ではないようだ。
「自分の娘ではありながらも、限界に達している。
このまま行くと娘を殺してしまうかもしれない」と絶望にうちひしがれている。
以前、息子の麻薬中毒に耐え切れず首を絞めて殺してしまったケープタウンの母親がいたが、
無罪になったという事件があった。同じ状況に陥っている家族は非常に多いと思われている。
南アフリカでティック常習者は非常に多く、家庭崩壊、殺人などを引き起こす代表的な要因といってもよい。
ティックの取締り強化だけでは解決できない問題かもしれない。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)
ソース:Techinsight 2010年9月22日 11:00
http://japan.techinsight.jp/2010/09/southafrica201009202225.html