小太り程度でも日本人が欧米人に比べて2型糖尿病を発症しやすくなる遺伝子を、
門脇孝・東京大教授(糖尿病学)の研究チームが発見した。
この遺伝子に変異があると発症の危険性が1・2倍高くなるという。
早期発見や予防薬開発に役立つと期待される。
5日付の米科学誌ネイチャージェネティクス(電子版)に発表した。
2型糖尿病は運動不足や食べ過ぎなど生活習慣が引き金となり、
国内で約890万人いる患者全体の大半を占める。
研究チームは、糖尿病患者約4500人と健康な人約3000人の遺伝子を
解析し、糖尿病と関係のある二つの遺伝子を発見。このうち、「UBE2E2」
と呼ばれる遺伝子では、遺伝子を構成する塩基配列が健康な人と異なると糖尿病の
危険が1・2倍高くなると推定。日本人患者の15%がこのタイプと考えられるという。
さらに、他国の遺伝子データを調べたところ、韓国や香港などでは同様の関係が
認められたが、フランスやデンマークでは糖尿病と関連がなかった。
東洋人は、欧米人のように明白な肥満でなくても発症する人が多い。
また、血糖値を制御するインスリンの分泌量が欧米人の半分しかないことが
知られており、今回の遺伝子はインスリンを分泌する細胞内で働いている。
門脇教授は「東洋人が糖尿病になりやすい体質を持つ理由を、
遺伝子で初めて説明する成果だ。今後、遺伝子が働く仕組みを解明し予防薬開発に
貢献したい」と話す。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100906ddm003040143000c.html