兵庫県宝塚市の放火事件で家族3人に大やけどを負わせたとして殺人未遂容疑などで
逮捕された中学3年の長女(15)が「家庭内で孤立していた」と供述していることが、
県警への取材で分かった。この事件では、長女の同級生の少女(14)
も逮捕されているが、2人は「悪いことをした」と反省の言葉を口にしているという。
県警は、重体の義父(39)や死亡した母親(31)と長女との関係を中心に
調べている。
長女は、重体の小学4年の次女(9)と合わせて4人暮らし。
全員ブラジル国籍で、長女が4歳の時に母親と来日した。
長女はこれまでの調べに、「両親の扱いが、自分と妹で違った」
という趣旨の供述をしている。
長女が通う市立中学校などによると、長女は教師らに、義父から手を
上げられることがあったと訴えており、本人は虐待ととらえていた。
中学1年の冬には、いったん帰宅後、午後8時過ぎに頻繁に学校を訪れていたという。
自宅に帰ろうとせず、男子生徒らに「帰ったら、また殴られる」
などと話し、学校側が両親を交えて話し合いをしたこともあった。
母親とのトラブルも絶えなかった模様で、近所の女性によると、毎日のように長女と
母親が口論する声が、聞こえてきたという。女性は「最初は
日本語でのけんかだが、激しくなると外国の言葉でまくしたてていた」と話している。
長女は周囲に「妹ばかり、ひいきされる」と不満を口にしていた。
県警も事件の背景に強い恨みがあるとみて、家庭環境を中心に捜査を
進めており、捜査関係者は「どういう背景があったのか、非行防止の
観点からもみていく」としている。
県警宝塚署は10日、2人を殺人と殺人未遂、現住建造物等放火の疑いで神戸地検に
送検した。
◇「数週間前計画」
長女と同級生の少女が放火する時に使った着火剤は、
事前に用意して持ち込んだのではなく、この家にあったものだったことが県警への
取材で分かった。2人が身柄を確保された際に持っていた包丁も、
長女宅のものであることが判明。2人は事件を「2〜3週間前から計画していた」
と供述、県警宝塚署は計画の内容も含め経緯を調べている。
県警などによると、長女宅にはバーベキュー用の道具があり、2人はその中の着火剤を
使った。ゼリー状の着火剤を2階に上がる階段の壁に塗り、
毛布を階段の途中に置いて、バーベキューなどに用いる着火器具で火をつけたという。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100710k0000e040056000c.html