【WTO】EUのエアバス支援は違法、WTO報告書

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【ロンドン=是枝智】世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は6月30日、
欧州連合(EU)各国による大手航空機メーカー、エアバスへの資金支援策の一部が
WTOルールで禁止する輸出補助金にあたると認定した。
ただ、EUも、米大手航空機メーカー、ボーイングに対する米国の支援措置が違法として
WTOに提訴しており、6年近くに及ぶ欧米航空機紛争が最終決着するかは予断を許さない状況だ。

今回の認定は「1審判決」に相当するもので、主要争点では米国の主張を認めた。
ただ、「米国の業界が損害を被った」とする米側の主張は退けられ、今後に火種を残している。

EUは60日以内に2審に相当する上級委員会に上訴できる。態度は「未定」としているが、
2審に持ち込まれる可能性が高いとみられる。EUは、7月にも予定される米ボーイング
に対するパネルの中間報告を待って、上訴するか最終判断する方針だ。

報告書では、エアバスを代表する世界最大の旅客機「A380」へのドイツや英国
などによる資金支援を、違法な輸出補助金などと認定した。
補助金分だけ輸出価格を安く設定できるため、貿易ルールをゆがめたと判断した。

米通商代表部(USTR)のカーク代表は6月30日発表した声明で、
「画期的な勝利だ。数十億ドル(数千億円)にのぼるEUの支援を補助金と認定したことは、
米航空機産業の労働者の利益になる」と強調した。

これに対し、エアバスは「米国の主張の7割は却下された」と反論した上で、
次期主力機「A350」に対するEU各国の資金支援は影響がないとしており、依然として双方の溝は深い。

一方、EUが提訴している件のパネルの中間報告では、米国の支援措置が違法と認定される可能性もある。
そうなればエアバス、ボーイング双方が痛み分けとなるだけに、最終決着にはなお時間がかかることになりそうだ。

ソース:(2010年7月1日19時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100701-OYT1T00816.htm