「ヤミ専従が広がり、根深い実態があった」――。
国土交通省・北海道開発局で23日、4000人以上の職員が「ヤミ専従」など勤務時間中の
組合活動をしていたことが明らかになった。違反の実態を指摘した第三者委員会の報告書は、
昨年8月の衆院選前、「全北海道開発局労働組合」(全開発)が組合員に、知り合いの名前など
をカードに書かせるなど政治色の強い活動をしていたことも指摘し、問題の深刻さを浮き彫りにした。
この日、国交省が公表した第三者委員会の報告書などによると、全開発は昨年7月頃、
連合の要請を受けて一部の組合員にカードを配布、勤務時間中に知人の住所や名前を
記入させていたが、この直後、同開発局のヤミ専従の問題が表面化したことなどから、カードは連合に提出されなかった。
これについて、調査にあたった同省の担当者は、投票先を指定した「署名」ではなかったことや、
連合にカードが渡らなかったことなどを理由に「公職選挙法で規制された署名運動などには当たらない」としている。
一方、ヤミ専従など勤務時間中の組合活動について、北海道開発局は1983年、開発局長名で
禁止する指示を出すと同時に「従来よりも自粛し、(ヤミ専従が)減る」ことを条件に処分をしないとす
る譲歩もしていたことも判明した。当時の担当者は第三者委員会の調査に対し、指示を
徹底できなかった理由を「ヤミ専従が広がり、根深い実態があった」と説明したという。
午後4時過ぎから記者会見した前原国土交通相も、全開発が組合員たちに知人の名をカードに
書かせていたことに触れ、「労働組合運動と政治運動が一体化した面があった」と述べるとともに、
北海道開発局の問題として組合活動の政治色の強さを指摘した。
前原国交相はヤミ専従が長年続いた理由について「職務時間中に組合活動に参加できる慣行があった」
としたほか、ヤミ専従が横行したのは「組織率が9割と極めて高いため」などと説明。
谷口博昭次官を開発局に派遣して、再発防止を徹底するよう指示したことを明らかにした。
午後6時から札幌市内で記者会見した北海道開発局の関克己局長も、処分を受ける職員が、
北海道開発局全職員の約7割に上る点に触れ、「率直に言って大変な数字だと思っている」と述べ、
ヤミ専従などについて「労使の慣行ということで長期に続いてしまった。速やかな対応に
欠ける部分があった」と沈痛な面持ちで深々と頭を下げた。
ソース:(2010年3月24日01時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100324-OYT1T00117.htm