津市の無職男性(65)が、三重県から恩給を受け取っていた元公立学校教員の
父親が死亡した後も、約5年にわたり父親の恩給を不正に受給し続けていたとして、
同県が詐欺容疑で津署に告訴状を提出したことが9日、分かった。
不正に受け取った恩給は約1332万円に上るといい、県は近く、男性を相手取り、
返還を求める訴訟を起こす方針だ。
同県教育委員会によると、男性の父親は県内で27年余り教員を務め、
1954年に退職、2002年12月に96歳で死亡した。男性は死亡届は提出したものの、
県教委が恩給の受給権の有無を調査する「受給権調査」に対し、父親の名前を署名し、
生存しているように装っていたという。県教委が昨年6月、
受給者約200人の住民票を確認したところ、父親が死亡していることが発覚した。
男性が恩給を不正に受け取った期間は、父親が死亡した翌月の03年1月から08年3月までと見られる。
男性は問題となった後、08年8月、県教委に対して年末までに全額返還することを約束したが、
これまでに約164万円しか返還されていないという。このため、県は刑事告訴に加え、
県議会の議決を得たうえで、未返還分に遅延損害金を加えた約1335万円を
支払うよう求めて、津地裁に提訴する。
県教委は「これほど悪質な事例は初めて。今回の不正発覚を受け、
昨年9月以降は住基ネットを使って3か月ごとに調査を行っており、同様の不正は起こりえない」としている。
男性は読売新聞の取材に対し、「恩給を不正に受け取った事実はない」と全面的に否定している。
ソース:読売新聞 (2009年11月10日)
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/091110_1.htm