長谷川憲正総務政務官(参院比例)の資金管理団体など二つの政治団体が独自の
「出張旅費規程」を設け、議員本人や妻、公設秘書らの出張の際に、「日当」や
「宿泊費」名目で一律に1日2万1000円を支出していることがわかった。
長谷川事務所が読売新聞の取材に認めた。
旅費を含めた個人への出張費としての支出は、2005年以降の4年間で3000万円に上る。
雇用契約関係にない団体が個人に支給する「日当」や「宿泊費」は
雑所得にあたる可能性があるが、議員らは税務申告していないという。
この団体は、資金管理団体「憲正会」と、長谷川氏が代表を務める「国民新党参議院東京第二支部」。
長谷川事務所によると、両団体では05年の設立以降、独自の旅費規程に基づき、
議員や秘書らが地方出張する度、1泊1万6000円の宿泊費と、日当5000円を支出。旅費は実費だという。
政治資金収支報告書には、旅費を含む出張費として一括計上され、添付された領収書は各個人名となっている。
収支報告書によると両団体が05〜08年に支出した出張費は4年間で284件、計3157万円。
このうち長谷川氏本人は85件で927万円、妻や公設秘書ら3人は185件で2107万円、
支援者4人が14件で123万円となっている。出張先は北海道から沖縄県まで全国にまたがっていた。
日当は国家公務員の旅費法を参考に決めたとするが、国内出張の場合、
同法では最高の内閣総理大臣と最高裁長官でも3800円となっている。
税理士で政治資金に詳しい浦野広明・立正大教授(税法学)によると、日当などは原則、
組織が雇用など契約関係にある労働者などに対して支払う場合、「社会通念上妥当な範囲」に限り、非課税という。
今年5月にスタートした裁判員制度では、裁判員は裁判所と雇用関係にないため、国税庁は、支給される旅費、
日当、宿泊料については雑所得にあたり、確定申告する必要があるとの見解を示している。
浦野教授は「旧郵政時代の渡切費のようなお手盛り的な支出と言え、
企業が支払う日当と同じように非課税扱いにすることは難しい。
宿泊費もホテルなどの領収書がなければ、雑所得として申告する必要がある。
政治資金を所管する総務省の政務官として脱法的な処理はやめるべきだ」と指摘する。
総務省は「実態を承知する立場ではなく、日当などの支給が妥当かどうかは何とも言えない」という。
長谷川氏は、旧郵政省の郵政審議官などを経て、04年に初当選。
長谷川事務所は「出張の際にすべての支出に領収書を徴収するのは大変で、旅費規程を設けて定額支給にした。
適正に支出しており、日当などが所得にあたるという認識はなく、今後も改めるつもりはない」としている。
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参院事務局によると、国会議員の交通費は事前申請していれば、JRは全線、航空運賃は選挙区か
届け出ている地方の居住地との往復で月4回(JRとの同時申請の場合は3回)まで無料。
これとは別に「文書通信交通滞在費」として月100万円支給されている。
ソース:読売新聞 (2009年10月8日03時12分)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091008-OYT1T00046.htm