違法コピーされたゲームデータを任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」上で
起動できるツール「マジコン」が、東京・秋葉原や大阪・日本橋の電気街で“在庫一掃セール”
となっている。先月27日、東京地裁はマジコンの販売業者に対し、輸入・販売の禁止を命じたが、
販売店は判決を逆手に「いま買わないと、なくなる」とユーザーを刺激する一方、積極的な
“セール”を行っているというのだ。
「3月中に販売はやめるので、転売用にまとめ買いする人もいる。特に(新型の)DSi対応版が
よく売れており、今日の入荷分はなくなった」と語るのは、秋葉原の路地裏でマジコンを売る
中国系店員。周辺でマジコンを取り扱う店は10店舗近くも存在し、多くが「3月で販売終了」
「追加の入荷はありません」とただし書きを付けて販売している。秋葉原と並ぶ大阪・日本橋の
電気街では移動販売車も出現。「マジコンあるよ」と買い物客らを呼び込んでいる。
マジコンはDSソフト以外に、ファミコンやゲームボーイなど昔のゲーム機のソフトも動かせる。
ゲームデータは違法コピーされたもので「Winny(ウィニー)」などのファイル交換ソフトを通じて
無料でダウンロードできるため、ユーザーは急拡大。そのため、ゲームメーカーは大きな被害を受けている。
コンピュータソフトウェア著作権協会が昨年8月にウィニー上の違法コピーを調査したところ、
約185万8000本のDSソフトがネットワーク上に漂い、国内発売の全タイトルが無料で入手可能だった。
同協会は被害額を約60億円と見積もっている。
【駆け込み需要あおり】
任天堂とソフト会社54社は昨年7月、不正競争防止法をもとに最も有名なマジコン「R4」を
扱っていた業者5社に対し、販売差し止めを求める訴えを東京地裁に起こした。先月27日、
地裁は同法違反を認定し、輸入・販売禁止と在庫の廃棄を命じた。それが“在庫一掃”の動きに
つながったようだが、これでマジコンが消えると思っている人は少ないという。
「実は昨年の提訴の段階でも同じような“セール”があり、このときは2倍近く値上がりした」と
話すのは秋葉原に通うゲームマニアの男性。「中国メーカーの在庫が切れた、任天堂から
注意された−といったうわさが流れ、そのたびに販売業者は値上げをして、駆け込み需要をあおっていた」(同)
すでにマジコンは普及済みとみる関係者も多い。問題の「R4」は一時、6000円以上の値が付いた
時期もあったが、現在は“最終セール”にもかかわらず3000−4000円で売られているからだ。
業界関係者は「販売業者はR4を売り切るつもりだろうが、その他にも類似のマジコンは40種類もある。
すでに新しいタイプのマジコンも出てきており、イタチごっこは続くのではないか」と予測している。
ソース:ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/top/200903/t2009032331_all.html