債務がある金融機関への返済に充てるべき不動産売却代金約3億円をだまし取ったとして、
宮城県警暴力団対策課などは7日、詐欺などの疑いで、遊技場などを経営する大慶商事
(仙台市青葉区)元社長の無職西山昭善容疑者(54)=東京都墨田区文花3丁目=ら3人を逮捕した。
調べでは、西山容疑者らは2004年8月下旬、当時のモルガン信託銀行(東京)から債権回収を
委託された整理回収機構に、名取市内の不動産を5億円で売却するとした偽造売買契約書を提出。
抵当権を抹消させ、約2億円をモルガン銀に支払った。翌月、この不動産を京都府のレジャー会社
に約16億4000万円で売り、モルガン銀が保有する元金約5億1500万円の抵当権との差額
約3億1000万円をだまし取った疑い。
売却代金の差額は、ほかの金融機関への借入金返済などに充てたとみられている。
ほかの逮捕者は、大慶商事(ともに当時)副社長の無職鄭圭〓(72)=宮城野区小田原3丁目=、
財務部副部長の会社役員及川克也(51)=太白区長町南3丁目=の両容疑者。西山容疑者と
鄭容疑者は容疑を否認。及川容疑者は認めているという。
登記簿などによると、大慶商事は1967年設立。87年3月に名取市内の土地、
建物を取得し、大型公衆浴場「東北健康スタジアム テルブ」(閉鎖)を開設した。
土地にはモルガン銀など金融機関5社が抵当、根抵当権を設定し、04年9月の売却に伴い、うち4社の抵当、
根抵当権が抹消された。県警はモルガン銀以外の金融機関に対する返済の実態についても調べる。
東京商工リサーチ東北支社などによると、大慶商事は設立当初、仙台市内でパチンコ店「ゴールドラッシュ」などを経営。
80年代後半以降は公衆浴場経営などに事業を拡大し、ピーク時(95年)には約300億円の売り上げがあった。
その後はパチンコ店の営業不振などで売り上げが減少。2度の不渡りを出すなど経営が悪化し、
金融機関との取引が停止。07年に事実上、倒産した。
(注)〓は券の刀が「したみず」
ソース:河北新報 2009年01月08日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/01/20090108t13027.htm http://www.kahoku.co.jp/img/news/200901/20090108s101.jpg