◇養殖技術の進歩に期待 将来は価格上昇の可能性
なるほドリ 庶民的なメバチマグロに加えて、最高級のクロマグロ(本マグロ)の漁獲規制が国際的に
強まっているね。いずれ食べられなくなるのかな?
記者 確かに規制は年々強くなっています。11月下旬、モロッコで開かれた大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)は、
東部大西洋と地中海で取ってもよいクロマグロの漁獲量を09〜11年、約2割削減することを決めました。
Q なぜ、大西洋と地中海の漁獲規制が重要なの?
A 世界で取れるクロマグロ約4万7000トン(06年)のうち、約6〜7割が大西洋と地中海産なのです。
Q クロマグロは日本で人気があるね?
A 世界のクロマグロの約9割を日本人が食べています。回転ずし店などで手ごろな値段で
食べられるクロマグロの多くは、大西洋と地中海産の蓄養ものなのです。
蓄養とは、中サイズのクロマグロを海のいけすで半年以上育て、大きくしてから出荷するものです。
天然ものより安く輸入できます。
Q 蓄養マグロのおかげで安く食べられたわけだね。で、2割の削減は日本にどんな影響を与えるの?
A 09年の場合は現行の漁獲枠の2万7500トンが2万2000トンに減ります。
日本が東部大西洋で取っている割当量も2345トンから1871トンに減ります。
全体で5000トン程度の削減量なので、水産庁は「今度の規制自体が日本の
クロマグロ市況に与える影響はほとんどない」と予測しています。
国内では冷凍の在庫が豊富にあり、市況への影響はなさそうです。
Q 安心した!
A ちょっと待って。高級なミナミマグロとともに資源の状態は世界的に悪化しています。
メバチマグロの規制も強化されていくので、価格が徐々に上がっていくのは避けられないでしょう。
Q やはりマグロが食べられなくなるの?
A そうでもないでしょう。大手水産会社は国内のいけすで飼育した養殖クロマグロを出荷し始めています。
体長20センチ程度の稚魚を2年以上飼って、約60キロにして出荷するものです。
卵から育てる完全な養殖の技術も完成しています。技術が進歩すれば、将来は大いに期待できそうです。
http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20081213ddm003070134000c.html?link_id=NP00102