もんじゃ焼きを群馬県伊勢崎市の新たな名物に育てようと、伊勢崎商工会議所青年部が取り
組むようになって約10年。当初はなかなか知名度が上がらなかったが、03年から始めた
「いせさきもんじゃまつり」が定着し、26日に波志江沼環境ふれあい公園で開いた今回は
約1万4千人が訪れた。同青年部の大前千鶴子会長は「東京・月島のもんじゃにも負けない
存在にしたい」と意欲をみなぎらせる。
「おこげのところがおいしいね」。前橋市から訪れた小学3年の石井匠さん(9)は満足
そうに、お手製のもんじゃに舌鼓を打った。キャベツ、チーズ、餅などおなじみの材料に
好みでイチゴシロップやカレー粉を混ぜる伊勢崎流もんじゃは大人気で、実演販売コーナー
には約100メートルの行列ができた。用意した2千食は完売した。
伊勢崎ともんじゃの関係は、同青年部が主張するもんじゃの伊勢崎発祥説に由来する。
東武伊勢崎線は1910年、東京の下町浅草駅と伊勢崎駅を結んで開通。当時織物の町として
栄えていた伊勢崎の商人たちが、絹や小麦粉を運ぶ際に利用した。大前会長は「群馬はもんじゃ
の材料となる小麦の産地。実は、伊勢崎で食べられていたもんじゃを、商人たちが小麦とともに
東京に伝えたんじゃないかと考えているんです」と話す。
ただし、そうした説を裏付ける資料はないため、同青年部が現在配布している資料には「甘ん
じて」(大前会長)、東京から伝わったと記載している。今後の調査で伊勢崎発祥説を証明し、
資料を書き換えたいという。
伊勢崎市内の小学校の近辺には、もんじゃ焼きを扱う駄菓子屋が多数ある。ここで小学生たち
が考案したとされるのが、伊勢崎もんじゃの最大の特徴とも言えるイチゴシロップとカレー粉を
材料に使うことだ。イチゴシロップは「アマ」、カレー粉は「カラ」。両方を使うと「アマカラ」
と呼ばれ、今も伊勢崎もんじゃに受け継がれている。
もんじゃまつりを訪れた伊勢崎市の会社員山崎明彦さん(35)は「小さかった時はもちろん
のこと、今でも月に1回は、カレー粉の入ったもんじゃを会社の同僚や家族と一緒に食べに行き
ますよ」と話す。
伊勢崎もんじゃを売り込むため、同青年部はあの手この手で工夫を凝らす。05年には、市内
でもんじゃ焼きの食べられる店を一覧にした地図「もんじゃマップ」を作製。鉄板とコンロに
材料もつけた携帯型のもんじゃ焼きセット「どこでももんじゃ」(4人分、2500円)も売り
出した。
26日のまつりには、もんじゃ焼きをかたどったキャラクター「もじゃろー」の着ぐるみも
登場し、ゆるキャラ人気にあやかってPRに一役買った。
今後も、中心市街地の空き店舗に伊勢崎もんじゃの記念館をつくったり、もんじゃ焼きセット
を土産物店に置いたりといった計画を練っている。
朝日新聞社
http://www.asahi.com/food/news/TKY200810270008.html 依頼がありました。