北京五輪開幕式後、ワシントン・ポスト紙の8月9日の社説は、1936年のナチスが主催したベルリン・オリンピック以後、
すべてのオリンピック競技国が初めて大会参加のため独裁国家の首都に集まり、五輪のために民主を犠牲にしたと報じた。
「北京五輪:オリンピック金メダルの政治の高い代償」と題するこの社説は、ブッシュ大統領が8月7日民主主義のタイで
発した中国人権問題への批判は強いものとしながらも、中国の地で述べたのではない上、中国当局の国際議題への協力を
賞賛する講演の最後に出させたものであると指摘、失望の意を表した。
ブッシュ大統領は上記の講演で、「米国が確信しているのは、中国人民は基本的な自由を有するべき、これはすべての
人類の生まれながらの権利であるからだ、そのため、中国当局が反体制者、人権活動家、宗教関係者を逮捕することに
断固として反対する」などと述べた。
ブッシュ大統領のその発言に対し、中国当局は、「人権、宗教などの問題を利用して、他国の内政に干渉するいかなる
言動にも断固として反対する」と即座に反論した。
同社説は、ブッシュ政権は事前に講演の内容を公表するなど、中国当局に応対する時間の余裕を与えたと指摘、当局も
反論後、引き続き五輪開会式の準備を進め、ブッシュ大統領を含め多くの国のトップは依然開会式に参加すると評した。
中国の統治者と多くの中国国民にとって、8月8日は誇るべき時刻であるのは疑う余地がないと同社説は述べ、中国人民の
心底の見方を見出すのが難しいと指摘、その理由について、「彼らが得る自国と世界の他の地域に関する情報は、政府の
宣伝と検閲を経て歪曲的に選別されたものばかり。好奇心旺盛、あるいは歯に衣(きぬ)着せぬ人は、職を剥奪されたり、
追放されたり、監禁されたりなどの悲惨な結果に遭う」と報じた。
「どれだけの中国人が北京市の環境汚染に不満を抱いているのか、五輪競技場建設のため家屋の強制移転を強いられた
大勢の北京市民にどれだけの人が同情を寄せているのか、平和的に見解を述べる反体制者が監禁されることに、
どれだけの人が心に怒りを隠しているのか。自国の政府は五輪開催のために交わした人権尊重の約束を不履行することを
どう受け止めているのか」と、同社説は疑問を呈した。
最後に、同社説は、「我々は一時的な『オリンピック精神』のため、金メダルより遥かに重要である人類の自由に関する
議論を避けたり、あるいは控えめに処理するのは、民主という偉業をさらに軟弱にさせ、虚偽のものにしてしまうだけである」
と記した。
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/08/html/d10335.html