“延命”へライバルを取り込んだ。福田改造内閣は「福田・麻生」政権の誕生である。
が、浮揚への展望は開けない。速やかな解散・総選挙で信を問え。
「らしい」といえば、いかにも福田康夫首相らしい、自民党役員と改造内閣編成の人事であった。
派手さはあえて退け、腰を低く、守りを固めて、当座をしのぐ。そんな印象の濃い布陣である。
ポイントとなっていた内閣のスポークスマン、官房長官に町村信孝氏を留任させ
党務の要の伊吹文明氏は、重要経済閣僚の財務相で処遇する。冒険はけっしてしない手堅さ
地味好みの首相の手法が、むしろ党の内外を戸惑わす。
大政局が始まっている
はたしてそれが、首相の好んで使う「国民目線」にふさわしいのかどうか。答えは近々出るはずの
改造内閣の支持率に、具体数値で明らかになるはずである。
伊吹氏の抜けた幹事長ポストに首相は、次を狙う麻生太郎氏を起用した。意図は明々白々だ。
ごく近い将来、嫌でも避けられない総選挙へ「人気度」を期待してのことだろう。それだけではない。
福田首相が「選挙の顔」となることに、連立パートナーの公明党は露骨な難色を示す。
その支援を得なければならない自民にも、それに同調する空気がある。
総選挙となれば、参院第一党となって弾みをつける民主党と、政権を奪い合う熾烈(しれつ)な戦いになる。
支持低迷から抜け出せない首相にとって「福田降ろし」の封じ込めは、片時もおろそかにできない死活問題なのだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008080202000128.html