若者を相手に不当な取引を繰り返したとして、福岡県消費生活センター(福岡市)が
大阪市の業者名を公表して注意を呼びかけた後、業者側の抗議を受け、
県のホームページ(HP)から削除していたことがわかった。
センターは「慎重を期した」と説明しており、25日に業者の情報を再掲載した。
消費者団体は「極めて珍しい対応。情報提供の信頼性が疑われる」と指摘している。
公表されたのはインターネット関連会社「クリエイチャー」。
学生らと「代理店契約」を結び、集めたネット広告に応じて報酬を支払い、
他の人を代理店として紹介すれば仲介料を出す一方、多額の加盟金を払わせていたという。
福岡県警は6月24日、契約相手に必要な書面を交付しなかったとして、
特定商取引法違反の疑いで同社を家宅捜索した。
その6日後、センターは同社がマルチ商法をして、学生に消費者金融を紹介したり、
契約解除に応じなかったりしたなどとして、同社の情報を県内の市町村や大学、
マスコミなどに通知し、今月1日に県のHPに掲載した。
しかし、同社は「マルチ商法ではないので違法ではない」との立場で、11日に弁護士を通じ
「マルチ商法」とした表現についてセンターに抗議。削除は求めなかったが、センターは同日、
同社の情報を自主的にHPから削除。
その後、県の担当弁護士に相談し、表現に問題はないとの回答を得たため、
2週間後の25日夕に再掲載した。
ある消費者団体(東京)の関係者は「削除は県の自信のなさの表れか。
最終判断をする前に情報を提供したことになり、県のHP全体の信頼性が疑われかねない」
と話した。
http://www.asahi.com/digital/internet/SEB200807270006.html