夜、キムタクのところへ行くと、事務所は相変わらずヒマな人たちでにぎわっていた。
そのなかに片言の英語ができる、小太りの男の子がいた。名前はザシくん。
英語は学校で習ったという。誰が従業員かよくわからないが、たぶん彼もスタッフの一人と思われる。
キムタクの代わりの人が来るまで待ってい間、みんなが「何が食べたい?」と聞くので、
「牛」と大きく書いて、ヤクの絵を描いたら、大笑いされてしまった。
「ヤク一頭食べるのか?」と。そうか、「牛肉」と書くべきだったんだ。
ようやくキムタクも仕事から解放され、ザシくんの運転でいざ出動!外は雨が降っていて寒い。
麗江でタイツを買ってきてよかった。
着いたのは、ヤクのしっぽや顔の骨が店先に下がっているチベット料理屋だ。
このあたりではよく見かけるヤク専門店である。
「白酒が好き」と言うキムタクのリクエストで、青?酒を飲むことにする。
「藏多醇」という32度の酒だ。それをボトル1本たのみ、みんなでガンガン飲む。
つまみはヤクの煮込み、ヤク肉の細切り炒めなど、ヤクづくしだ。
ヤクは臭くて固いと思っていたら、ものすごく柔らかくて臭みがない。
ウマい!上等の牛肉だ。酒もクセがなく、やや甘みがあってスイスイ飲める。ウマい、ウマい。
キムタクが、「日本の酒飲み歌が聞きたい」というので、「北国の春」を歌うと、
ほかのテーブルのおじさん達も、一緒になって歌い、店中が大合唱になった。
大盛り上がりで飲みに飲んで、ボトル一本なくなるのはあっという間だった。
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