佐々右布子と左馬之助は地方の旧家に生まれた双子の高校2年生。小さいころから
ずっとずっと一緒にいた二人だけれど、最近なぜかすれ違うことが増えるようになっていた。
左馬之助は何となく右布子を避けるようになっている原因が、右布子にはどうしても分からない。
それはそれとして彼女にもやりたいことがあった。
それは「友達を作ること」。
年齢の割には非常に幼い右布子、彼女への思いを隠そうとする左馬之助、
さらに彼女が所属する映画研究会のメンバーである清野亜寿と西丸貴大の4人を中心とした、
恋と青春の物語が本書である。
この物語では、地方都市ならではの倦怠(けんたい)感、大人が子供を見る厳しい視線、
そして双子の姉弟の禁断の愛……。こうした要素が、漫然とした日常の中に潜む青春の美しさと
みにくさを紡ぎ、著者独特の感性によって鋭く描かれていく。
元々は小学館の少女向けライトノベルレーベル「ルルル」から発刊された作品が、
ソフトカバー単行本として新装刊された。単行本化に際し、短編3作が書き下ろされており、
本編の後日談的なエピソードが注目。本編でも、その誠実さと報われなさが好評を博した
サブキャラクター・西丸の株がさらに上がること間違い無しの一作だ。私のお気に入りの
キャラクターであることを差し置いても、ファンにはうれしいサービスだろう。
エンドロールまであと、/壁井ユカコ/小学館/1400円
ソース:
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071206mog00m200061000c.html