犬嫌いのサル出没、住民もとばっちりで3人けが 北九州
犬にイチャモンをつけるサルが、北九州市八幡西区の住宅街に出没している。
4月から姿を現し、6月下旬と今月1日には住民も襲われて、けが人が出た。
人が襲われるケースの大半は、飼い犬とサルのいさかいが発端。
「犬猿の仲」を地でいくサルについて、専門家は「野生らしくない行動。
どこかで飼われていたものではないか」と推測する。
八幡西署によると、4月にJR黒崎駅に近い地区を中心に10件前後の目撃情報があり、
5月には60件に急増。おおむね同区の北部から南部に移動する形で
6月に87件、7月には80件の通報が寄せられた。
同じ時間帯に違う地区での目撃情報がないため、
出没しているサルは1匹か、多くても2匹とみられている。
今月1日午前8時20分ごろには同区上上津役(かみこうじゃく)6丁目の住宅の庭で、
飼い犬とけんかを始めたサルが、住民の女性(57)に飛びかかった。
女性は背中を引っかかれて服が破れ、すり傷を負った。
この日午前6時50分ごろには、同じ町内で散歩中の犬がサルにかまれた。
6月20、21日にも、同区上の原で犬を連れていた女性が襲われ、
かまれたり、転倒したりして2人がけがをしている。
目撃情報も「犬がらみ」が多い。ビワの木に登って実を食べていたサルが、
散歩中の犬を見つけて木から突進してきた例も。
同署幹部は「通報者も犬の散歩中の人が多い」と話す。
「飼い犬が残したドッグフードを食べた」「サルが犬に追いかけられていた」という通報もあったという。
犬への強い関心について京大霊長類研究所(愛知県犬山市)の渡辺邦夫教授は
「野生のサルならわざわざ犬に近づこうとはしないはずだ。
飼われた経験があり、人間や犬に慣れているサルの可能性が高い」と指摘する。
また、高崎山自然動物園(大分市)の河野光治案内係も
「元々飼われていたサルが街をさまよううち、犬と友達になりたいと近づいた可能性がある」と見る。
一方、同市小倉北区の動物園「到津の森公園」のニホンザル飼育担当者は、
群れからはぐれた「離れザル」が街に居着いたか、元々飼われていたものかはわからないとしたうえで、
「過去に犬にひどい目に遭った経験から、犬より優位に立ちたいという感情があるのかもしれない」と話す。
http://www.asahi.com/national/update/0804/SEB200708040007.html