大手電機メーカー「NEC」(東京都港区)の営業系幹部社員らが架空や水増しの発注を繰り返し、
下請け会社などから現金を還流させて裏金をつくっていたことが東京国税局の税務調査で分かった。
06年3月期まで7年間の不正支出は総額約22億円にのぼり、大半を裏金として還流。取引先の接待に充てていたなどとして、交際費と認定されたとみられる。
不正支出を含む所得隠しの総額は23億円。ほかに研究開発費用をめぐる経理ミスなども指摘され、
7年間の申告漏れ総額は約40億円にのぼった。同社は過去に多額の赤字を抱えており、
増えた所得は相殺されるため、重加算税を含めて追徴税は発生しなかった。
不正経理に関与したのは計五つの事業部の営業部門。事業部長から主任クラスまで、
50〜30歳代の計10人がかかわり、上司と部下が一緒になって不正を働いたケースもあったという。
同社は社内調査でこのうち8人の関与が明白になったとして、死亡した1人を除く7人を懲戒解雇処分とした。
今後、損害賠償や刑事告訴を検討する方針。
関係者によると、NECはグループで請け負った業務を、保守サービスの「NECフィールディング」(港区)のほか、
ソフト開発やシステム工事関連の子会社にそれぞれ発注し、子会社はさらに下請け会社に外注するなどしていた。
国税局が調べたところ、このうち営業部門からの発注の一部に実態がなく、架空や水増しだったことが判明。
渡した金の大半が、発注した事業部の担当者に還流され、裏金として管理されていたことも分かった。
子会社を通さず、直接協力会社に支出して還流させる手口もあった。
裏金は、取引先を銀座の高級クラブなどで接待する費用に充てられ、多いときは百万円単位の支払いも
あったとされる。ほかにクレームをつける顧客への対策費用にも充てていた。
また、一部は社員らが飲食に使っていたという。
国税局は、接待費用などは交際費にあたり、組織ぐるみで経費に見せかけて所得を減らしたとして、
悪質な所得隠しと認定した模様だ。
asahi.com:NEC不正22億円、架空発注で裏金 国税指摘 - 社会
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