★130年ぶり「ノ」削除 JR「西ノ宮」が「西宮」駅に
18日のJR西日本のダイヤ改定で、神戸線の西ノ宮駅(兵庫県西宮市)が「西宮駅」に改められる。
西宮市は市名と一致させるようこれまで何度も要望してきたが、運賃表示板の書き換えなどで多額
の費用負担を要求されたことがネックになっていた。今回、新駅「さくら夙川(しゅくがわ)駅」の開業
に合わせてJR側が大部分の経費を持つことで決着。地名と駅名の「ズレ」が130余年ぶりに解消される。
西宮の地名は「えべっさん」で知られる西宮神社に由来し、平安時代にはあったことが確認されている。
大阪―神戸間の官営鉄道開業により「西ノ宮駅」が出来たのは1874(明治7)年。当時の地名に
合わせたという説もあるが、西宮市によると、「過去の文献を調べても『ノ』入りの地名があったことは
確認できない」という。旧国鉄の前身にあたる工部省鉄道寮が「東京の人には読めないから」と、
隣駅だった三ノ宮とともに「ノ」を入れたとも言われるが、真相は不明だ。
同市内には阪急西宮北口、阪神西宮、JR西宮名塩と、市名を冠した駅が3駅あるが、JRの玄関口
だけ「ノ」がついたまま。「こちらが正式な市名と勘違いされることも多い」(同市)として、98年の駅舎
改築時など、折に触れて駅名変更を申し入れてきた。
JR西日本では地元の要望で駅名を変える場合、近隣駅の運賃表示板の書き換えなど経費の一部
の負担を求めてきた。05年に「城崎」から「城崎温泉」に変えた兵庫県城崎町(現・豊岡市)は
約4600万円、95年に「神足(こうたり)」を「長岡京」に変えた京都府長岡京市は約2千万円を支出した。
西宮市によると、西ノ宮駅の改称経費についてJR側は「東海道線の快速停車駅は、他の駅と事情が
異なる」として、全国の発券システムの改修費用など約2億円を提示したという。市側は「とても出せる
金額ではない」と見送っていた。
今月のダイヤ改定で、西ノ宮駅の西隣に「さくら夙川」駅が開業することになり、同市は新駅周辺の
駐輪場などを整備し、JR側にアピール。システム改修は新駅開業に伴う費用としてJR側の負担とし、
市の支出は駅の看板改修費の一部など数十万円に落ち着いた。同市の担当者は「財政難の折、
数千万円の負担でも市民の理解を得られない。新駅というタイミングを逃すわけにはいかなかった」と
“成果”を強調した。 (つづく)
(asahi.com マイタウン関西 2007年03月17日)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200703170019.html (
>>1のつづき)
JRは18日未明の営業運転終了後に西ノ宮駅の看板を書き換える。「ノ」の字のプレートを取り外し、
字間のバランスを取るため「宮」を左に数センチずらす。
■三ノ宮、森ノ宮、桜ノ宮は改称予定なし
京阪神地区のJR線で「ノ」がつく駅名は神戸線の三ノ宮(神戸市)、大阪環状線の森ノ宮と桜ノ宮
(いずれも大阪市)などがある。三ノ宮駅は町名の「三宮」と表記が異なるが、JR西日本は「地元から
要望がないので改称は検討していない」という。神戸市も「西宮は市名だが、三宮は単なる地名。
さほど違和感も感じない」として、静観の構えだ。
森ノ宮駅付近には「森之宮」「森ノ宮中央」の2通りの地名がある。桜ノ宮駅の近くには「毛馬桜之宮
公園」があるが、大阪市は「市民からの要望がない」として、改称を求めるつもりはないという。
(了)