★県議海外視察2513万円 意義は
◆「目的・内容 点検態勢を」の声◆
県議会議員の海外視察に03〜06年度、県費から2513万円が支出されていたことが、朝日新聞の
情報公開請求で分かった。計22回で参加者数は延べ77人。福祉施設や行政機関などを訪問している
視察もあるが、観光地巡りが中心のケースも複数あった。海外視察は議員1人あたりの旅費が4年間の
任期中に上限額の130万円(1期目は60万円)を超えない限り、申請通りに認められるのが通例で、
目的や内容をチェックする態勢の整備を求める声も出ている。(仲村和代)
・03〜06年度分 情報を開示
報告書「中華が大好き、堪能した。でも温泉は日本が世界一…」
朝日新聞が情報公開で入手した資料によると、03〜06年度の海外視察22回のうち、委員会による視察
は3回、19回は議員個人や会派での視察だった=表参照。
行き先はベトナムや韓国、中国、欧州など。現地の行政機関や学校、福祉施設の視察、政治家との会談
などを盛り込んでいるケースがある一方、観光地巡りが中心の視察も複数あった。
06年8月、自民議員5人が、観光事情と港湾施設の視察を目的に、3泊4日で台湾を訪問。公開された
報告書によると、高雄の港湾を訪れたものの、「昔は軍港だったわけであるが、米軍撤退の影響なのか、
規模も縮小され、昔あった軍港は移転をしてあった」との記述があるだけ。残りの日程は温泉や名勝地、
屋台街、故宮博物院などの観光地巡りに費やされていた。
訪問した県議の1人は「報告書は別の県議が書いたので見ていない。港湾施設訪問が中心で、有意義
だった」としている。
05年7月の議員2人によるタイ、台湾4泊5日の視察では、エビ養殖場や米作農家などの農林水産施設
の視察と、学校の訪問にそれぞれ半日を費やしたほかは、王宮や寺院、水上マーケットなどを回っていた。
県議会が定めた要綱(99年7月施行)では、県議が海外視察をする際には、事前に計画や目的を記した
申請書を議長に提出し、承認を得ることになっている。帰国後1カ月以内に報告書を出せば、旅費が支給される。
議員からは「報告書をみる限り、単なる観光と批判されても仕方ないケースもある。視察の意義を事前に
検証し、県政にどう生かしたかが分かる形を整えるべきだ」との指摘も出ている。
※報告書抜粋
■台湾4日間(06年8月)自民5人
あこがれの的であった台湾の観光というのはどういうものかということを調査するために視察に参った(中略)
世界の食の王国という風に言われているのは、なぜか(中略)おや、というような部分もかなりあった。私は
中華が大好きなので、大変堪能はしたわけである(中略)台湾の某温泉にも視察に行った。しかし、やっぱり
手前みその話であるが、日本の温泉が世界一だなというふうにますます自信を深めた(中略)今回の視察に
おいて、先ほど述べたように、ますます日本という国に自信を持ったわけである。
■チェコ、ハンガリー、オーストリア8日間(04年10月)自民6人
夕食を現地の人しか行かない様な、小さなビアホールですませる。観光ではなく、その国の生活状況を把握
するには、地元のこういった店に行くのが一番である(中略)市長と市議会議員8人と懇談を行う。基本的には
市長や議員はボランティアであり、それぞれに他の職業を持っている(中略)東欧の国がEU加盟を機にどの
ような方向性に進んで行くのか? これから目が離せない国の視察は、興味深い研修旅行であった。
(asahi.com マイタウン長崎 2007年03月15日)
http://mytown.asahi.com/nagasaki/news.php?k_id=43000000703150001