長崎市議会(山口博議長、五十一人)の議員が二〇〇五年度に市政に関する調査研究目的として
使った政務調査費が、選挙を控えた金子知事の後援会会合に出席するための航空運賃や、眼鏡の
ように私物の購入費に充てられている実態が、長崎新聞社が市議会への情報公開請求で入手した
資料で、二十二日分かった。裏金や不正経理で自治体職員の公金を扱う意識の低さが問題となっているが、
議員の姿勢も問われそうだ。
知事は昨年九月に三選出馬を表明。今年一月告示の選挙を控え昨年十二月下旬に対馬で後援会の
会合があった。知事の衆院議員時代に私設秘書をしていた議員は、会合日に行政視察として対馬を訪問。
だが実際は後援会の会合出席が目的で、調査費から航空運賃など旅費約二万九千円を支出した。
この議員は「選挙情勢と、対馬で起きていた不正入札事件の状況を把握するためだったが、
自費で行くべきだった。調査費返還の意思はある」と話した。
眼鏡(二万五千円)と体温計(約三千五百円)を買った議員も「体温計は会派全員で使うためだったが、
いずれの購入も認識が甘かった。その分の調査費を返還したい」と話した。
調査費の一部を会派に支出した共通経費で青汁(約一万九千円)や観葉植物(約三万二千円)のように、
調査との関係が不明な物品を購入したケースもあった。
議会事務局は「〇五年度は議員に事前に聞かれれば使途の是非を答えていたが、
調査費使用のたびに一つ一つはチェックしていなかった。〇六年度は三カ月ごとにチェックしている」という。
政務調査費は地方自治法に基づき自治体が議員に交付する。長崎市は条例に基づき
研究研修費、調査旅費、交通通信費など十一項目の使途基準を規定。一人に月額十五万円、
年間百八十万円を支給し、残った場合は返還しなければならない。〇五年度に使い切った議員
は二十二人で、最少使用額約八十六万円だった(今年一月に長崎市と合併した旧西彼琴海町
選挙区の議員一人を除く)。
長崎新聞社は〇一−〇五年度の政務調査費の収支報告書と、領収書や出張記録書といった添付書類を
情報公開で請求。添付書類の提出が義務付けられたのは〇五年度からだったため、同年度に限って調べた。
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20061223/01.shtml