Dr.津田敏秀(岡山大学大学院環境学研究科・疫学)のコメント
週刊ポストの記事とその元の論文の両方を早速入手して読みました。
高岡助教授は、精神科出身で疫学のトレーニングは全然受けていないようです。
解説の最初「最上段のの項目にある1.16という数字は、喫煙者と同居して
受動喫煙にさらされている非喫煙者の肺がん罹患率が、喫煙者と同居していない
非喫煙者より1.16倍高くなるということではありません。これは『オッズ比』
という統計的な尺度です。」という部分からいきなり間違っています。
「…倍高くなるということです」というのが正しい表現です。基本になる指標に
対する解釈から間違っています。
また、この見出しの0.78という数字の解釈も論文の考察に載っています。
そもそもこの人は、受動喫煙に関してどれだけの論文が出ていて、その結果は
どうだったのかということに関する知識が全くないようです。
また研究間で、結果の数字がばらつくことに関して、どのような扱いをするのか
ということも知らないようです。まあ、オッズ比の解釈(医師国家試験のレベル)
も知らないわけですから無理もありません。
精神科の助教授で専門外と逃げを打っても言い訳にはならないでしょう。
元論文は封印なんかされてません。ここでちゃんと公開されています。
http://jncicancerspectrum.oxfordjournals.org/cgi/content/short/jnci;90/19/1440 おまけに、WHO傘下のIARC(国際がん研究センター)のメタアナリスシス
にも組込まれています。つまりその「成果」も織り込んだ上で、WHOは
受動喫煙の害を考えているわけです。