月面に実際に人間が生活できる家を置こうと、スウェーデンの芸術家が提案し、
スウェーデン宇宙公社(SSC)の協力を得てプロジェクトを実行に移そうとしている。
同国の伝統的な赤い小屋を運んで設置する構想で、不可能に挑戦する一方、
人類の象徴にもするのが願いだという。
スウェーデンの芸術家、ミカエル・ゲンバーグさんはこのほど、
BBCテレビの番組で構想を公表し、月面に着陸しても無人で
そのまま家となるように小さくて軽いことを前提にして
小屋のデザインを企業や学生らから募る意向を明らかにした。
総事業費は約3600万ポンドで、順調に進めば、2011年に月面に到達させる計画だ。
「不可能を可能にしたい。軽くても強固にすれば、何千年ももつ。
それを国際的な象徴にし、宇宙に存在するはかない地球の存在を示すものにしたい」
とゲンバーグさん。
小さくとも実際に生活できる家にすることを想定しており、ゲンバーグさん
「米国は2020年にはまた人類を月面に送りたいと思っていると聞いている。
そのときに月面に家があったら、最高だ」とも語った。
ゲンバーグさんから支援を依頼されてSSCも乗り気だ。
SSCは1972年に政府出資で創設された独立採算の宇宙開発事業会社。
衛星データの受信やロケット打ち上げ施設を持ち、各国の放送通信衛星会社とも
契約して衛星を運営する。
付加価値をつけた衛星データの供給事業にも積極的に取り組んでいる。
それでも世界的には目立たない存在だけに今回の構想は格好のアピール材料。
SSC幹部は地元紙に「成功すれば、スウェーデンは月を支配する3番目の国になる」
と語り、北欧からの宇宙開発競争への参画に意気込んでいるという。
産経新聞 10/18 12:30
http://www.sankei.co.jp/news/061018/kok005.htm