【読売社説】「大阪市に劣らないひどさ」「東京23区全てで常態化」 全国自治体のヤミ組合活動の実態

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1月30日付・読売社説(1) [ヤミ組合活動]「自治体は労使関係の是正を図れ」

 地方公務員の給与のもとは税金だという原則を、労使双方が忘れていたのではないか。
 労働組合の幹部らが勤務時間中に組合活動をしながら、給与を得る「ヤミ組合活動」が、
全国の自治体で行われていた。
 大阪市で発覚したヤミ専従問題を機に総務省が全自治体を対象に行った初の組合活動の
実態調査がまとまった。勤務時間内の組合活動の範囲を定めた国の基準を逸脱した自治体が
21都府県、9政令市、763市区町村に上った。
 昨年6月までの1年間に、東京都では延べ1万9700人、計9万9000時間、横浜市では
延べ2万9300人、計9万6000時間もの基準外の組合活動に給与が支払われていた。
 職場を留守にする労組幹部の机がパソコン置き場になるなど、“職場離脱”が大半の部署で
公然と行われていた大阪市に劣らないひどさだ。
 東京23区では全区でヤミ組合活動が常態化していた。
 総務省は、こうした悪(あ)しき慣行を改めるよう各自治体に通知したうえ、来年度も調査を
継続する方針だ。各自治体は早急に是正に取り組まねばならない。
 地方公務員法では、職員に職務専念義務を課し、勤務時間内の組合活動は原則、
休暇をとって行う、としている。
 給与や勤務時間などの労使交渉への参加に限って、条例を定めて有給を認めるように、
旧自治省が40年前、条例のひな型を示していた。
 しかし、自治体の中には、交渉前の組合内部の会議なども有給扱いにできるように拡大解釈した
条例を定め、ヤミ組合活動を許してきたところが少なくない。職場を離れる時の申請を口頭で済ませ、
メーデーや組合大会、勉強会など国の基準外の活動にも有給を認めていた。
 本来は、給与を差し引かねばならない「組合休暇」を有給にしていた自治体も山口県など326団体あった。
 労使なれ合いの温床になった条例の改正と厳正な運用が改善に不可欠だ。
 大阪市では昨年夏から秋にかけ、職員254人に減給などの処分をし、労働組合が過去3年の
ヤミ専従の給与額として1億5400万余円を市に返還した。
 今回、不明朗な実態が明るみに出た自治体も、経緯や上司の責任について、住民に十分説明し、
職員には給与の返還を求めるなどの措置が必要だ。
 民間企業ではあり得ない特権の背景には市民の目が届かない労使交渉がある。
鳥取県や、問題発覚後の大阪市は、交渉の記録をホームページで公開している。
他の自治体もこれに倣うべきだ。

ソース:読売新聞 06/01/30
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060129ig90.htm