都内の結核患者の実態は近年、深刻さを増している。人口10万人当たりの患者数は、
平成5年に全国25位の34・9人だったが、全国的な患者減少で、
16年には大阪府に次ぐ2位にまで浮上(30・2人)。特に10−20代の感染リスクが高まっており、
危機感を持つ都は先月下旬、初めて結核予防計画を策定した。
都のまとめによると、16年に都内で新たにみつかった結核患者は3764人で、
2位の大阪府よりも137人多かった。10万人あたりの患者数(罹患(りかん)率)では、
大阪府が41・2人で群を抜いていたが、都は30・2人で全国2位となった。
都内の罹患率を押し上げているのは若年層の感染。14歳までは全国平均と大差はないが、
15−19歳(9・8人)は全国平均より5・3人、20代(27・8人)は全国平均よりも12・5人多かった。
都感染症対策課は原因を、「ネットカフェや学習塾など閉鎖された空間に不特定多数が集まり、
長時間一緒に過ごすことにより集団感染するケースが多い」と分析している。
都内では昨年6月、学習塾で生徒や講師ら計178人が結核に感染したことが発覚。
国が統計を取り始めた4年以来、国内最大規模の集団感染となった。
結核は感染しても、発病するのは10人に1−2人。感染後2年以内に発病するケースが多いが、
それ以降でも免疫力が低下すると発病の危険がある。
都の担当者は、「結核は過去の病気ではない。高齢になって発病するケースも多く、
若年層の感染を食い止めることが、結核撲滅に向けての今後の課題」と話している。
ソース:産経新聞 06/01/14
http://www.sankei.co.jp/edit/kenban/tokyo/060114/kiji02.html