今年10月に予定していたUFJ銀行との合併を3カ月延期したばかりの東京三菱銀行で、新たな
不祥事が発覚した。女性派遣社員が約12年間にわたり、総額約10億円の預金を着服していたのだ。
犯行の温床は、長期にわたって外部社員を同じ職場に“放置”していたことだった。その管理体制の
甘さは、近く誕生するメガバンクへの信頼も揺るがしている。
着服をしていたのは、東京三菱銀行の子会社「ダイヤモンドスタッフサービス」から、東京三菱銀行
港北ニュータウン支店(横浜市都筑区)に派遣されていた女(54)。被害は総額約9億9000万円に上が、
一部は不動産投資に使われていた可能性があるという。
関係者によると、元社員は渉外担当として、顧客宅を訪問。平成5年5月から今年5月の約12年間に
わたり、個人顧客十数人に対し、「長期間の預け入れで高い金利が得られ、利息は途中でも支払われる」
などと架空の金融商品を勧誘。通帳などを預かり、口座から預金を引き出していた。
被害者はいずれも50歳代以上。元社員は金融商品の「利息分」として、顧客口座に定期的に金を
振り込むなどの工作をしていたため、発覚が遅れたようだ。不審に思った顧客からの問い合わせで発覚。
元社員は今年6月、懲戒解雇された。
元社員は、着服金のうち約7億4000万円を使い込んだことを認めており、「金融機関からの借金の
返済に充てていた」と話しているという。同行が回収できたのは、わずか約2億5000万円だけだった。
UFJ関係者は「合併に伴い、派遣社員に関するシステムも統一することになるが、相手がこんな
ずさんな管理をしていては、先が思いやられる」と頭を抱える。
東京三菱銀行は6月、元社員を業務上横領容疑で神奈川県警に刑事告訴。7月には畔柳信雄頭取と
三木繁光会長ら経営トップと関係役員計7人を2カ月間・20%などの減俸処分とした。
業務上横領罪の時効は7年。「捜査中なので、具体的な数字は明かせないが、かなりの額について
立件できない可能性もある」(捜査関係者)という。ずさんな人事管理の代償は、ばかにならないようだ。
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http://www.zakzak.co.jp/top/2005_09/t2005090721.html