東山動物園(名古屋市千種区)の人気動物コアラの「ふん」が評判だ。繊維質の多いふんを、
紙すきの要領でしおりやはがきにリサイクル。各地のイベントで配布したところ、物珍しさと
ほのかな香りが“運”を呼びそうと注目を集めている。
きっかけは二年前、スリランカ製の「ゾウのふん」からできた紙製品を、園内の売店で扱ってから。
担当した東山公園協会の職員が「うちでもやってみよう」と提案。ゾウよりコアラの方が話題になりそう
と試し始めた。
バケツに集めたふんを乾燥させ、家庭用ミキサーで粉砕。なべで約三時間煮詰めて殺菌し、
布でこす。市販の型に入れてすき、乾燥させてアイロンをかけたら完成だ。
えさのユーカリは繊維質が豊富。ただ、「ふん100%」では紙として強度が足りない。このため、
ティッシュペーパーや牛乳パックを粉砕して混ぜ込んだ。割合を試行錯誤したところ、
「ふん10%」ほどが強度もあり、風合いもよいことが分かった。
パソコンのプリンターで図柄を印刷したり、使い古しのチケットを混ぜて全体に色を付けたりできる
ようにもなった。
今年四月、愛・地球博(愛知万博)に出展しているオーストラリアのナショナルデーに合わせて、
来園者にしおり約二百枚を配布した。
七月には万博ささしまサテライト会場(中村区)であった「環境デーなごや」で、体験希望者にはがき
六十枚を手作りしてもらった。
九月十一日の環境デーでも体験を予定している。
東山には現在、コアラ十匹がおり、一日十キロ近くのふんが出る。「原料」は十分だが、
手間ひまがかかり、大量生産や商品化は難しい。
本業の駐車場運営の合間に「ふん」と格闘している同協会業務係長の斉藤幸治さん(55)は
「最初はうんちと言うと嫌がる子どもたちも、できあがると純粋に喜んでくれる。当面は動物園や
リサイクルのPRに使うが、いずれ新名物として売店に並べられたら」と願っている。
ソース:
http://www.chunichi.co.jp/00/ach/20050901/lcl_____ach_____011.shtml [画像]:
http://www.chunichi.co.jp/00/ach/20050901/a6.jpg