ソニーによると、ハッカーのグループが先週末、オンラインゲーム「Everquest II(EQ2)」で
使われている通貨を大量に偽造したため、同グループが捕まるまでの24時間で、ゲーム内の
経済が20%のインフレ状態になったという。
EQ2の開発元であるSony Online Entertainment (SOE)のChris Kramer(広報担当ディレクター)
によれば、偽造を行ったプレイヤーらは米国時間6日、同ゲーム内で通貨として通用している
プラチナを大量に偽造するために、いわゆる「デューピングバグ(duping bug)」の使用を
開始したという(デューピングバグとは、オンラインゲームのコードが持つ弱点を悪用し、
通貨などのアイテムを効率的に偽造するハッキング行為をいう)。
偽造を行ったプレイヤーらはその後、不正なプラチナの売却を「Station Exchange」で
試みようとした。Station Exchangeは、EQ2で使われる武器、鎧、通貨などの仮想アイテムを
売買する公式オークションシステムだ。「ゲームで使われる通貨量が約24時間で5分の1も
増加した」とKramerは説明し、「この種の事柄を検知するアラームを多く用意しているが、
同日、それらのアラームが一斉に作動した」と語った。
Kramerによると、MMORPG(多人数が同時に参加できるオンラインロールプレイングゲーム)
であるEQ2の経済は、直ちに攻撃前の状態に戻されたという。
SOEは7月、Station Exchangeを立ち上げたした。同オークションシステムの登場により、
EQ2プレイヤーは、ゲームで使用される仮想アイテムをUSドルに換金することが可能になった。
しかし、EQ2などのオンラインゲームに参加するプレイヤーの多くは、このような取引に
反対している。主な反対理由としては、こうした取引により、時間をかけてキャラクターを
自分の手で進化させている人たちに比べ、資金を持つ人たちの方が有利になることが
挙げられている。そのためSOEでは、取引が認められているサーバとそうでないサーバとに分け、
EQ2を運営しており、それぞれのサーバのプレイヤーは、互いに競い合うことができない
仕組みになっている。
Krameによると、Station Exchange用サーバ上でデュープバグが発見された後、同社の
カスタマーサービスチームが、偽造プラチナの売却を阻止するために、オークションを
直ちに停止したという。同チームは、ハッカーを特定でき次第、偽造したプレイヤーたちの
アカウントを停止した。ソニーでは、これらのプレイヤーの名前を公表していない。
また、Kramerによると、SOEは偽造プラチナのトラッキングと削除を可能にするツールも
用意しているという。そのため、EQ2の経済が大きくインフレ状態になった米国時間6日にも、
同社カスタマーサービスチームが週末にかけて多くの作業を行った結果、同7日には問題が
ほぼ解決できたという。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20086372,00.htm