宮城県警のカラ出張認める 捜査協力者の存在にも疑問
宮城県警総務課が1994、95年度に支出した旅費にカラ出張の疑いがあるとして、
仙台市民オンブズマンが当時の総務課長や出張者ら10人に、旅費計約380万円を
県に返還するよう求めた訴訟の判決で、仙台地裁の小野洋一裁判長は21日、
県警のカラ出張を認め、旅費の一部約60万円の返還を命じた。
小野裁判長は、捜査目的の出張8件を「総務課員が捜査のために出張するのは不自然」と指摘、
捜査協力者の存在にも疑問を投げ掛けた。宮城県警は捜査報償費でも、返還訴訟判決で
仙台地裁の別の裁判長が不正支出の疑いを指摘している。
全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)によると、静岡県警がカラ出張を認めて旅費を
返還した例があるが、裁判で警察の旅費返還が命じられたのは初めてという。
返還を命じられたのは、当時の歴代総務課長2人と出張者とされた総務課員2人の計4人。
捜査目的以外の各出張については「請求期間を過ぎている」などと、支出の違法性の有無を
判断しないまま訴えを却下した。
県警側は、出張者が捜査協力者と接触していたと主張したが、協力者と接触したホテル名を
失念していたことから、判決は「特殊な用務で出張したのに不自然」と指摘。「そもそも協力者が
実在するかという肝心な点も具体的な裏付けが一切ない」とした。
原告側は、訴訟対象となった94、95年度以降に出張が激減したのは不自然と主張。
県警側は「予算配分見直しの結果」と反論したが、判決は「必要に応じて予算を獲得しないと
業務が停滞するはず」として県警側の主張を退けた。
オンブズマンは2000年にも同様の訴訟を起こしたが、被告側が
「不正はないが、裁判で家族を犠牲にしたくない」と認諾し、全額返還したため、
いったん訴えを取り下げた。しかし「真相を闇に葬り去る行為だ」として02年にあらためて
別の旅費などを対象に提訴した。
ソース
http://www.sankei.co.jp/news/050721/sha051.htm