5年前に突如姿を消した学習院女子高等科・中等科(東京都新宿区)の元科長(校長)。
本人とみられる白骨遺体が埼玉県飯能市内の山林で見つかった。
警察ではDNA鑑定で身元の特定を急いでいるが、今度は捜索願を提出した妻(46)が、
警察に転出先を告げることなく姿を消した。
名門校の元校長の失踪(しつそう)事件は、ナゾを残したまま幕切れとなるのか。
「えっ? 奥さんもう住んでないの? 住所変更の届けもないんだけどなぁ…」。
学習院女子中・高等科の元校長、塚田久幾さん=失踪当時(66)=の捜索願を出した
25歳年下の妻の“行方不明”に、受理した目白署も困惑を隠せない。
同署は、提出から2年たった時点(14年9月)で、妻から捜索の継続を要望されていた。
近所の住人は「一昨年前(平成15年)ぐらいまで住んでいたと思うけれど、いつの間にか
引っ越していた」と話し、同署も「捜索願を出した本人がいなくなるなんて聞いたことない」
と首をかしげる。
塚田さんは学習院大理学部を卒業後、同大大学院を経て、昭和41年に学習院高等部
女子部の教員となり、平成8年から12年3月に退職するまで科長(校長)を務めた。
退職後は「3000万円以上はもらっているはず」(学校関係者)という退職金を受け取りながら、
なぜか東池袋の築40年以上の木造アパート(家賃約10万円)で暮らし続けた。
12年8月29日に近所の人に目撃されたのを最後に姿を消した塚田さん。
最初は放浪かと思われたが、あまりに帰ってこないことから妻が9月6日に目白署に捜索願を提出。
その後はまったく行方が分からなかった。
妻の証言などから、石油の先物取引に失敗し、退職金どころか1000万円以上の借金を
作っていたことが判明。
目白署の捜査や、遺書ともとれる書き置きなどから、「自らの意思による失踪」(捜査関係者)と
判断されていた。
塚田さんとみられる白骨化した遺体は4月17日正午ごろ、埼玉県飯能市南川の山林で、
山歩きをしていた男性(41)が発見。
付近にはボロボロになったジャンパーやバッグがあり、塚田さん名義の健康保険証のコピーが見つかった。
遺骨が見つかった斜面の約100メートル上の樹木にロープが垂れ下がっており、状況から
みて首つり自殺した可能性が高い。
遺体は死後約4−5年たっており、塚田さんだった場合、失踪直後に自殺したことになる。
失踪後の妻は、手掛かりが出ない焦りからか、週刊誌に“遺書”の手紙を公開したり、
女性誌にも登場。
塚田さんがストーカーだったという出会いから赤裸々な夫婦生活、困窮から銀座で
ホステスをしていることなどを“告白”していた。
塚田さんには病没した前妻との間に一男一女がおり、発見された遺体が塚田さんと特定された場合、
目白署は「奥さんと連絡が取れないなら、そちらに連絡することになるだろう」と話す。
また、遺体発見後に連絡を受けたという学習院女子部でも「まだ塚田さん本人と決まった
わけではないし、退職された方なのでコメントしようがない」と語った。
教育熱心で人望もあり、生徒からも『塚パパ』と呼ばれ慕われていたという塚田さんだが、
捜査関係者も「死因も特定できず自殺とも断定できない状態では、すべて推測の域を出ない」。
結局、多くのナゾはナゾのまま残った。
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_05/t2005052106.html