インドの政治活動家たちはいまやヒンドゥー教国粋主義指導者の等身大ポスターだけでなく、
癌にヒステリーから痔まで何でも治療するローションや薬を買い求めることができる。
しかもそれらはすべて牛のおしっこおよび糞からできているのだ。
インド人民党(BJP)本部のおみやげ売り場に、新しくゴラトナと呼ばれる牛製品のコーナーができ、
さっそくその他の商品を上回る売上げを出しているという。
これまでに売られていたのはお堅い政治パンフレット、バッヂ、旗、アタル・ビハリ・バジパイ前首相の
顔写真がついたサフランと緑色のプラスチック製壁掛け時計などだ。
「いくつかの商品は信じられないくらいあっという間に売り切れます」
華やかなニューデリー中心部にあるBJP本部で兄弟と売店を経営するマノジ・クマーさんは言う。
「便秘薬がいま注目の商品ですね」
しかし最大の人気商品は「万能薬」だ。これで糖尿病に痔から"婦人病"まで何でも治るという。
「これは奇跡的」と薬の容器にある。一月分の値段は1ドルをわずかに上回る。
もうひとつの万能薬はサンジヴァニ・アークと呼ばれる液剤で、癌、ヒステリー、生理不順その他に効くという。
薬のほか、ゴラトナ製品には牛の糞で出来た歯磨き粉、洗剤、美白肌クリーム、育毛剤、肥満治療薬、
石鹸、また牛の尿でできた"殺菌アフターシェーブローション"などがある。
牛の聖域保護キャンペーンを続けてきたヒンドゥー教国粋主義政党BJPの広報シダート・シンによれば、
売店には、インドにおいて大勢の人々が従事する農村産業を宣伝する目的があるという。
「インドの歴史を振り返れば、これは我々の文化の一部なのです。我々にとっての商業的な利益はありません。
この国の農村産業は宣伝が必要なのです」
インドには牛の生産物利用の何百年にもわたる歴史がある。
5つの重要物産、すなわちバター、ミルク、カード、尿そして糞は、人々のあいだでパンチガヴヤとして知られ、
インド伝統のアーユルヴェーダ医療の重要な一要素である。
牛は10億人を越えるインド人口のうち82パーセントを占めるヒンドゥー教徒に崇められている。
国のほとんどの地域で牛の屠殺が禁止されている。
ゴラトナ商品は北部の "牛地帯" ウッタル・プラデシュ州の協同組合で生産され、急速に人気を集めている。
「いちど使ったお客は、また戻ってきます。こんどは友達や家族や隣人を連れて再び戻ってくるのです」クマーさんは言う。
シンは洗剤を使ったことがあり、さらに他の商品を試してみるつもりだという。
「髪の薬を試してみたいと思っています……効くといいですね」彼はニヤリと笑い、薄くなりつつある髪を指で整えた。
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081109721563.html