米連邦最高裁判所は22日、セックス・トイ(大人のおもちゃ)の販売を違法とするアラバマ州の州法は
憲法違反だとする申し立てを却下した。
最高裁は、定期的にセックストイを使用する個人のグループと、この問題が性的プライバシーの
憲法上の権利の範囲に重要な問題を提起しているとする供給メーカーによる申し立てを却下した。
同州法では「人間の性器への刺激を目的として設計された、もしくは販売される器具全般」の販売を禁じている。
初犯の場合、最高1万ドル(約105万円)もしくは懲役1年。
1998年から施行されている同法は、性的刺激を主要な目的とせずに設計もしく販売されている通常の
バイブレータやボディ・マッサージャーの販売は許可している。
また「純粋な医学的・科学的・教育的・立法的・司法的・行政的目的のため」の性的器具の販売を例外としている。
裁判資料によると、性的器具の販売を制限している州は、他にジョージア州とテキサス州だけである。
同州法に異議申し立て行った人々を代表している米国自由人権協会(ACLU)の弁護士団は、成人の個人的な、
合意の上で行われる性的行為は憲法上、守られなければならず、政府の規制の範囲外であると主張している。
同弁護団は、テキサス州のソドミー法(アナルセックスを禁止した法律)を違憲とした2003年の最高裁判決は、
性的プライバシーの権利への根本的かつ憲法上の手続きを生み出したと主張した。
「証拠は、この件が、新案商品や猥褻グッズもしくは卑猥な行為に関することではないことを示しています。
本件は人間のセクシュアリティと極めて親密な行為に関することなのです」と弁護団は主張。
またアラバマ州は「バイアグラ、シアリス、レビトラなど性的パフォーマンスを強化する薬の販売がなぜ
禁止されているのか、筋の入ったコンドームの販売すら許されないのはなぜなのか」を説明していないと指摘した。
弁護団は、全アメリカ人女性の20%がバイブレータを使用し、少なくとも性的経験のある成人の10%が性生活に
バイブレータを使用しているという事実に根拠ある反論を行っていないとしている。
連邦裁判所判事の1人はアラバマ州を違憲とする判定を下し、「バイブレータ、人工ペニス、ビーズ、
人工ヴァギナ……などの性的器具を使用する権利」は合憲であると裁定した。
しかしアトランタの米連邦高裁は2−1で同州法を支持する判決を下した。
米連邦高裁は、同州法はセックスビジネスを規制する由緒ある州の警察力の行使に当たるとしてアラバマ州を支持。
そして、プライバシーの権利は性的器具の商業目的の販売にまで及ばないとして、ACLUの主張を却下した。
アラバマ州のトロイ・キング検事総長はACLUの訴えに反対した。
「本件には、公的および商業的行為が含まれている。一般のショッピングセンターでの性的器具の販売や、
タッパーウェアパーティなど屋内での販売がそれに該当する」と同氏は語った。
キング検事総長は同法は「一般の商行為と純粋にプライベートな行為の区別」を尊重するものだ、と語った。
「これは……寝室の外の話なのだ」
最高裁は一切のコメントおよび意見の相違の記録なしで控訴を棄却した。
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081109250408.html