上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダが存亡の危機に立っている。月内にも雌のシュアンシュアンに
来園4度目の人工授精を行う計画で、妊娠するチャンスはこれが最後とみられる。失敗すればシュアンシュアンは
メキシコに戻され、上野のパンダは高齢の雄リンリン1頭だけになる。
上野動物園にはリンリン(19歳)とシュアンシュアン(17歳)の2頭のパンダがいる。リンリンが気が弱く、
自然交配が難しいため、04年2月に2回、7月に1回人工授精を試みたが、ともに失敗した。
シュアンシュアンは03年12月、繁殖を目的に動物園間で動物を無償で貸し借りする「ブリーディングローン」で、
メキシコの動物園から来た。契約は今年で切れるが、子供が生まれれば、数年先まで母子ともに上野動物園に
とどまる。第1子はメキシコ、第2子は上野動物園の所有になる。
人工授精が難しいのは、高齢化のためだ。
上野動物園でパンダの人工授精手術を手がける橋崎文隆・獣医師(56)によると、通常は雌の発情期に
合わせて年に1回だけ行う。だが、シュアンシュアンは年に数回発情を示すなど周期が乱れ、加えてリンリンから
採取できる精子の量も減っている。
橋崎さんは「年ごとに妊娠の確率は下がる。今回が最後のチャンスになるだろう」と話す。
上野動物園によると、動物園で飼育されているパンダは世界で計168頭(04年11月1日現在)。うち163頭は
中国に所有権がある。中国以外に所有権があるのはわずか5頭で、ドイツの雄1頭、シュアンシュアンなど
メキシコの雌3頭、そして上野動物園のリンリンだけだ。
リンリンは01年からメキシコに3年間滞在し、人工授精したが失敗に終わった。飼育下のパンダは20歳を
超えると死亡率が急増するとされ、今年20歳になるリンリンも危険な領域に入る。
上野動物園の小宮輝之園長は「パンダが上野の目玉であることは30年前も今も変わりません。人工授精に
最善を尽くします」と話している。
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http://www.asahi.com/national/update/0219/013.html