米南部テキサス州に隣接するメキシコ北部で、二つの麻薬カルテルが、
支配権をめぐって流血の抗争を繰り広げている。
メキシコ北部の各市には、テキサス州から大河リオ・グランデに架かる橋を渡って、
簡単に入国できるので、週末に訪れる米国人が多い。
しかし、麻薬ルートの争奪をめぐる抗争の激化で治安も悪化。
米国人が誘拐・殺害されたり、行方不明になる事件も多発している。
麻薬カルテルを取材したメキシコ人ジャーナリストへの報復とみられる襲撃も行なうなど、
その無法ぶりが社会問題化している。(ベリタ通信=有馬洋行)
テキサス州ラレドからリオ・グランデを越えてつながるメキシコ側のヌエボ・ラレド市。
2月7日早朝、テレビ局テレビサの記者の自宅に駐車中の車に銃弾が撃ち込まれた。
記者の出勤時間に合わせて銃撃が実行されたとみられるが、幸い記者は、難を逃れた。
記者は、ヌエボ・ラレドに徘徊する麻薬カルテルを告発する報道番組の責任者だった。
番組では、覆面をした告発者が登場し、組織幹部の名前や、麻薬カルテルが、
市警察や、軍に内部通報者を持っていることを明らかにした。
また麻薬組織が、拘束された者をライオンに食べさせているとも語った。
7日の記者への銃撃は、この番組に対する報復とみられ、
襲撃後、この記者は、安全確保のため身を隠した。
米連邦捜査局(FBI)も麻薬カルテルの動きを注視しており、今回の覆面告発者の証言については
「我々にこれまでにもたらされた情報と一致している」と話している。
米クリスチャン・サイエンス・モニターによると、半年前に、
「ガルフ・カルテル」のストリーを掲載したエル・マニャニャ紙の編集者がヌエボ・ラレドで刺殺され、
その1カ月後には、コラムニストの遺棄死体がマタモロス市で見つかるなど、
不利な記事を書くジャーナリストが標的になっている。
サン・アントニオ・エクスプレス・ニュースは、メキシコ北部のヌエボ・ラレドから、
レイノサ、マタモロスにつながる3市で、麻薬カルテル「シナオラ・カルテル」と「ガルフ・カルテル」が、
激しい勢力争いを繰り広げていることを明らかにしている。
過去6カ月間で、メキシコ人115人以上が、誘拐・行方不明になっている。
ヌエボ・ラレドでは、2月4日には、市警察幹部が出勤途上に銃撃される殺人未遂事件も起きている。
同市では、01年以来、14人の市警察官が殺害されている。
イカソース
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__984349/detail