キャンベラ──積極的安楽死のための自殺を提唱し、オーストラリアで「ドクター・デス(死の医
師)」と呼ばれている医師は9日、オーストラリア国内で近く自殺セミナーを開く計画を発表した。
「ドクター・デス」ことフィリップ・ニチュケ医師がAP通信に語ったところ、自殺セミナーは来年3月よ
り早く開く。場所は明らかにしていない。オーストラリアでは来年3月に連邦議会が、こうした自殺
教唆の集会を禁止する法律を成立させる見通しのため、その前に開く計画という。
ニチュケ医師が主催する安楽死グループ「エグジット・インターナショナル」の計画では、セミナー
は3日間の予定。オーストラリア、米国、ニュージーランドからすでに約30人が参加を希望してい
るという。
ニチュケ医師によると、セミナーでは参加者に、確実に自殺するため、致死率のきわめて高い錠
剤を作る方法を教える。普通の店で一般人が買うことのできる材料を、どう調合すれば「自殺薬」
になるかを、具体的に指導するという。
さらにニチュケ医師は、セミナー参加者が各自が地元で安楽死教室を開き、錠剤づくりの知識を
大勢に広めることを目的としていると話した。
ニチュケ医師は、連邦議会が審議している法案は、自分たちの活動を標的にしたものだとして、成
立する前にセミナー開催を急ぎたいとしている。法案は自殺の方法を教えるための集会開催を禁
止するほか、情報のウエブ掲示や、情報を準備することも禁止している。違反者への罰金を12万
豪ドル(約960万円)に設定している。
自殺セミナーに参加するつもりだというニューサウスウェールズ州のジョン・エッジさん(68)は、A
P通信に対し、自殺するつもりはないが、万が一必要になった時のために、確実に死ねる薬を手
元に持っていたいと動機を説明した。
「私は、植物人間にはなりたくない。もし万が一そんなことになるなら、できればそうなってしまう前
に、自分で何とかする手段を、確実に手にしておきたい」とエッジさんは言う。エッジさんはリウマチ
性関節炎を患っている。
ニチュケ医師は1996年、オーストラリアの北部準州が積極的安楽死のため医師による自殺幇助
を許可した際、患者4人を安楽死させた。北部準州の自殺幇助許可法は翌年、連邦議会が同法
を無効にする法案を成立させて覆した。
※ソースはこちら
http://cnn.co.jp/world/CNN200411090017.html