独最高裁は3日、インターネットオークション大手eBayの出品者が、特定の条件下で
出品した商品を返却してもらいたい場合に、オークションの成立に関わらずこれを認めるとの判断を示した。
裁判では、ダイヤモンドの腕輪を開始価格1ユーロで出品した宝石商が原告(上告人)で、
これを最高額で競り落とした落札者が被告となっていた。宝石商は腕輪を返却してもらうために、
落札額と同額を落札者に支払うことで解決を試みたが、それが受け入れられず裁判に至っていた。
これに対して最高裁は、インターネットオークションで落札されてしまった商品であっても、
2週間以内であれば理由を問わず返却してもらうことが可能であるとしている。
今回の裁判では、インターネット上のオークションという特殊な売買契約が、
一般的な遠隔地における売買契約の規則の対象となるのか、それとも通常のオークションの規則の
対象になるのかが争点となった。遠隔地の売買契約にあてはまるとすれば返却を求める権利が
認められるが(独民法312条)、通常のオークションであれば認められない(独民法156条)ことになる。
この点について裁判では、eBayのインターネットオークションは独法律で規定された
オークションの条件を満たしていないとして、オークションの規定は適用できないと判示された。
具体的には、通常のオークションでは落札にあたる行為が必要だとされているが、
それに該当する行為はインターネットオークションでは厳密には行なわれていない。
むしろ、インターネットオークションの出品者と落札者は遠隔地にいる者同士の関係にあり、
オークションの後に通常の遠隔地の売買契約を結んだことになるという。
すなわち、出品者側にも遠隔地の売買契約と同等の危険があり、保護する必要があることになる。
したがって今回の裁判では、出品者が遠隔地の売買契約の一般条項に基づいて商品の返却を要求することができると判示された。
同種の裁判で最高裁の判断が出たのはドイツではもちろん初めてで、
欧州諸国でもほとんど類を見ない。今後のネットオークションのあり方に一石を投じることは間違いなさそうだ。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/11/05/5285.html 依頼688