女子サッカーの国内リーグ・Lリーグで52連敗中だった二部のルネサンス熊本FCが4日、熊本市の
水前寺競技場で行われた今季四試合目で悲願の初勝利を挙げた。ひたむきにボールを追い続けた
選手たちは、試合終了のホイッスルと同時に抱き合い、涙を流した。スタンドのサポーターも、
足掛け5年の待ちに待った勝利に喜びを爆発させた。
ルネサンスは、2000(平成12)年に同リーグ参戦。しかし、他チームとの力の差は歴然。昨シーズン
終了時点で二引き分けを挟む四十九連敗。10点差以上をつけられて負ける試合も一度や二度では
なかった。今シーズンも開幕から三連敗。開幕戦後、スポーツ紙には連敗中の競走馬「ハルウララ」に
たとえて「L2にウララ 熊本50連敗」という記事も出た。
しかし、連敗にもくじけずプレーする選手たちの姿に、少しずつ人気も上がってきた。昨年まで50人
ほどだった観客も、今シーズンは二百人ほどに増え、選手を感激させた。二十歳のフォワード林田
美由紀選手の加入で得点力も増し、昨年13チーム中12位のジェフユナイテッド市原レディースとの
対戦は、チームも初勝利のチャンスとみていた。
前半、佐藤恵利子選手(25)が相次いでゴールを挙げ、勝利の予感が高まる。前半途中から激しい
雨が降る悪コンディションとなったが、選手たちの集中力が途切れることはなかった。
「本当に勝つかもしれない」という空気が漂った後半30分、市原のフォワードに守備網を崩され、
1点差。これまでルネサンスが大量失点を喫してきた“魔の時間帯”の失点に、スタンドは一瞬
凍りついたが、直後にだめ押しの3点目を挙げ、逃げ切った。
宮城県出身の佐藤選手は、連敗を続けるチーム事情を知る母親から「そろそろ見切りをつけたら
どうか」と伝えられていた。終了直後、実家に「お母さん、勝ったよ!」と感激の電話。
3点目を決めた奥村紗代選手(21)は、「自分自身に憤りを感じたこともあった。負ける原因を
一つ一つ修正してきたから今日があると思う。この五年間は意味があった」と胸を張った。
http://www.kumanichi.com/news/local/main/200407/20040705000031.htm