【美瑛】丘陵観光地として全国的に知られる上川管内美瑛町のキャッチフレーズ
「丘のまち びえい」を、町内の農業法人が商標登録していたことが二十二日、明らかになった。
商品や看板など商業目的に限らず、観光パンフレットや町広報誌など公共物にも長年使用
された「町の財産」。今のところトラブルはないものの、町内の商工・観光業者は権利者側の
対応に警戒感を強めている。
「丘のまち びえい」のキャッチフレーズは、町民有志が一九八六年ごろ、美瑛の丘を全国に
広めた写真家の故前田真三氏とともに、観光振興のための写真集を製作し、観光客受け入れ
態勢を整える際に知恵を絞って考案したといわれている。町は九四年から町広報誌のタイトルを
「丘のまち びえい」とし、九五年以降は町が定めた書体(ロゴ)が、特産品や土産品のパッケージ
などに広く使われている。
商標の権利者は同町の武田農園。九七年に商標登録を出願し、九八年にトウモロコシ、麦、
野菜類など同農園の農産物三十二品目、九九年にはさらに写真、印刷物、紙類など七十品目が
商標を使える権利を得た。
同農園を経営する前町議の武田信玄氏(62)によると「丘のまち びえい」のキャッチフレーズは、
町内の別の農園が十数年前からメロン販売に使用し特許庁に申請していたが、その後倒産し、
事業を引き継いだ武田農園が特許庁に登録料を支払い、認められたという。
武田氏は「事業とともに引き継いだキャッチフレーズを無断で使われたくなかったので登録した。
使用者から料金を徴収するかどうかは決めていないが、美瑛の発展のためになるなら
無料使用を認めることもありうる」と話す。
同町の浜田哲町長は二十二日の町議会で「もし町民の財産が自由に使えなくなるとすれば、
大変残念」と遺憾の意を表明した。また、町商工会の幹部は「特産品に使うだけではなく、
丘のまちの文化をこれから生み出そうとしている時だけに、町にとって損失だ」と肩を落とす。
一方、特許庁は「登録の前からキャッチフレーズが広く使われ、認知されていたのであれば、
商標法で『先使用による商標の使用権』が認められている」としている。
※ソース(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20040623&j=0030&k=200406232534